第17章 主張する首筋。
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「ヘイヘイヘーイ!どしたの?」
「あのね、国語の教科書貸してほしい…」
「忘れたのか!待ってろ!」
そう言って、自分の席に戻り
ガタガタと音を立てて机を探る。
一つ一つの動作が騒がしい。
けど、好きだからかな。愛おしい。
あ゛、と声が聞こえて
しょぼくれながらこちらに何も持たずに
戻ってくる。
「……ごめん、今日国語無いから
持ってきてなかった」
「もー、木兎もまおもお揃いー」
「そっか…私が忘れてきたのが悪いし
大丈夫だよ、ありがとね」
「良かったら、貸すけど?」
そう言ってきたのは木兎と同じクラスの男子。
朝、かおりちゃんに絡んだやつ。
凄く顔に出たらしく、雪絵ちゃんが
気づいて声を掛けた。
「あー、かおりが持ってるかもだし
大丈夫ー、だよねー、まお」
「うん、気持ちだけ受け取る、ありがと」
「そーそー、まお、行こー」
「光太郎じゃあね」
急いで光太郎のクラスから逃げる。
さっさとかおりちゃんのクラスに向かい
無事に国語の教科書を借りてクラスに戻った。
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