第15章 静寂。
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「……もっ、もしもし」
『おー!まお〜!鼻大丈夫か〜?』
「うん、ッ、大丈夫」
さっきの今で呼吸が整わない。
呼吸が整ってから掛け直せば良かった。
『俺も今部活終わってさ〜、
あかーしが今日はやめようってボール
上げてくんないから帰るんだけどさ!』
「っそうなんだ、光太郎も休まないとね」
『でさ、なんか買ってくよ!
お菓子!何食べたい?』
「な、んでもいいよ、光太郎食べたいやつで」
『ヘイヘイ!じゃあ適当に買ってくわ!
……てか、昨日聞いた様な声で
聞こえるんだけど。俺の間違いじゃない?』
背筋がゾワっと寒くなる。
彼には、電話先でもお見通しなのか?
何を言ってもダメな気がして黙ってると
続けて光太郎が喋る。
『喋らないって事は図星?
まおちゃんエッチだな〜!
…まあ、ちょっと待ってて!』
ブツッ————
乱暴に切られる電話。
これから来るという彼。
嵐の前の静けさってこの事を言うのかも
しれないってくらい、さっきまで静かだった。
でも、これから起こるかもしれない事に
正直期待してて、気持ちが昂まった。
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