第3章 悪魔は微笑む
「賢一さん」
「じゃあ、俺も気持ちよくさせてもらおうかな」
愛美の膝の裏に手をやり、股が見えるように左右に押しひらく。
「あ!」
そして雨宮は自身の肉棒をぐしょぐしょの秘部に擦り滑りをつけると、
「あああん!」
ぐぐっとゆっくり愛美の濡れきった膣に挿れた。
その瞬間愛美の腹部に少しの痛みと圧迫感が刺激として脳に伝わる。
「はぁ、気持ち、いいよ。愛美」
「私もです、賢一さん」
繋がった二つの身体は快楽に溺れる。
けど、互いの心の中は違う。
雨宮は柔らかい笑みを浮かべるも、その瞳はどこか遠く、冷め切っているようにも見える。自身の下であんあんっと喘ぎ声を出しながら上下に揺れる愛美をまるで蔑むかのような目だ。
「くっ、はぁっ」
腰を揺らす度に肌がぶつかり、乾いた音が部屋に響く。雨宮は愛美の胸を揉みながら目を閉じ快楽に身を委ねる。
そして何回目かの律動を繰り返した時、愛美の中に白濁の液を吐き出した。
「はぁ、はぁ、」
「賢一さ、ん」
「可愛いかったよ、愛美」
そんなの、自分で言ってて吐き気がする。
俺は人を好きになった事も愛した事もない。
だから行為は形だけになっていた。
何の感情も持たない。
空虚な時間だけが俺を1人にさせていく。
別にそれで構わない。
愛なんて所詮、形はないから。
隣でぐったりと横たわる愛美に、雨宮は誰かに一本の電話を掛けると寝室を後にした。