第3章 悪魔は微笑む
「へー、結構広いんですね」
仕事終わり、雨宮により連れて来られた愛美は広々としたリビングに立ち辺りを見渡す。一軒家にしては天井が高く、二階部分が吹き抜けになっててモダンな雰囲気を醸し出す。
落ち着く。
それが愛美の感じた一番の感想だった。
「ありがとう。今仕事が成功しててね」
「だからこんなに広いお家なんですね」
「まぁね。あ、何か飲みたいのあるかな?」
キッチンに立つ雨宮は目の前でキョロキョロと辺りを見渡す愛美を見る。
その視線に気づいた愛美はゆっくりと彼の方に向いた。
「えっと…その、私がここに来たのは」
「クスッ、セックスしたいからだよね?」
「っ!」
恥じらいもなく言い退ける雨宮に、愛美は顔を赤くして俯く。
そんな仕草に雨宮は一旦目を向けるも冷蔵庫から缶ビールを取りリビングのテーブルに置いた。
「まぁ、まだ時間はある。それに今日は家に帰る気もないでしょ? ならゆっくり楽しもうよ」
そう言って雨宮は愛美に缶ビールを差し出す。
「っ。」
ずるい人。
そう思っては彼に差し出された缶ビールを手に取る愛美。冷蔵庫にしまってあったせいか、かなり冷んやりとしている。
「私は酔ってない状態でシたいのに」
「あはは。俺は酔って更に乱れる君が見たいな?」
「石田さん……」
「だから、お願い?」
そんな甘い言葉と笑顔に愛美は仕方なく缶ビールのプルタブを開けた。
もう知らない、そう思う事にして。