第12章 キツネアザミと矛盾の芽
ここ最近の彼女の変化としては、ほぼ常に素を見せてくれるようになったのと共に、以前にも増して風呂上がりの髪の手入れを嬉しがってくれているような。
「今日も綺麗だなぁ、なんでそんな可愛いんだこの子は?」
『中也さんが綺麗にしてくれるから』
「そういうこと言うだろおまえ」
『ずっと撫でててくれる……♡』
そういうところだぞ。
まあ撫でられるの好きなのはずっとだろうが、なんというか撫でられに来てくれるようになったんだよな。
最早感慨深くさえある。
「まあ、半分はずっと撫でてたくてしてるし」
『それはなんで??中也さんにいいことあるの?』
「あるだろ、リアが可愛い」
『……もっといっぱい撫でていいよ』
振り向いて抱きついてきた。
え〜可愛い、二人きりになるとデレるなぁほんと。
『あ、の……あの、その…………すき』
そんでもって最近よくそう言葉にしてくれるようになった。
「俺も好きだよ」
うん、と言いつつ、そう返されてようやくベッタリと甘えてくるのである。
ある種の確認なのだろう、安心できるならいくらでもすればいい。
「肌大丈夫だったか?痛いとこない?」
『もう何回も確認したよ?』
「うちのリアちゃんは繊細なんだよ」
過保護、と笑われるが嫌がられはしない。
そりゃあそうだろう、満更でもないのだから。
「今日の戦闘では怪我は?」
『してないよ』
「隠してない?」
『……中也さんは隠さなくても引かないもん』
「当たり前だなぁ?」
『それに心配までしてくれる』
「させてくれるようになっただけでも俺は感動したんだぞ」
うりうりと撫で方を変えるとそれはそれで嬉しそうである。
まったく、ここまで長かった。
まあその期間も含めて可愛らしいもんだったが?
たまらずキスしてみるとちらりとこちらを見つめてきて、頬を染める。
『なんで今キスしたの?』
「つい?」
『ふぅん?』
もうしないつもり?と言外に言われた気がして、繰り返し何度か口付けさせていただく。
そう、させていただいているのだ、決して主導権は俺には無い。
この姫さんはリードされる方が好みのようだが、だから俺がそうさせてもらえているだけで主従関係を履き違えてはならないのである。
……その方が可愛らしい反応が見られるしな。
「腰揺れてるぜ、お嬢さん」
『……うん』