• テキストサイズ

glorious time

第11章 珪線石の足音


『んん……つかれた』

待機所にやってくるなりかなり疲弊した様子のそいつは、やけに素直に疲労をあらわにしながら俺の近くまで戻ってきた。

「お疲れ。おまえは待機でもいいんだぞ?」

『は……?』

不機嫌度MAXだとでも言えそうな程の顔で睨まれた。
いやいや待て待て、なんでいきなりそんな怒ってるんだよおまえは。

「中原さん、中原さん!白縹さんあなたと任務行くのが好きなんですから!!」

「それはそれだろ、こんなしんどそうなんだから休ませ「見てくださいよあの今にも中指が立てられそうな手を」……ええ、そんなに怒ることかぁ?」

普通は喜ぶもんなんだけどな。

「リア、おまえ爆弾全部処理してきたところだろ?」

『なんですかセクハラ幹部』

「おーおー、調子戻ってねぇぞ」

『こっち来ないで他の人と仲良くやってれば。変態』

誰しもがうわぁ、と言いそうな表情で彼女の怒りっぷりに気が付いていたようだった。
もしかして俺だけか、鈍かったのは。

「機嫌直してくれよリア」

『今触ったら通報する』

何やら本気で触るのを嫌がられている様子なので撫でることすら出来なさそうだ。
せっかく帰ってきたってのにそれはねえだろ、それは。

「マフィアの幹部相手に通報で脅せると思ってんのか」

『未成年淫行で社会的に抹殺「分かったリアちゃん、俺の負けだ。とりあえず俺は誰にも浮気してないから戻ってこい」えっ、ほんとに浮気したの』

言ってねぇええ、こいつ言葉に敏感過ぎてこういうところあるよな。
慌ててこっちに戻ってきたのはいいけどよ。

「してねえよ、誰にすんだ」

『……まあ別に元々リアのじゃないし「リアちゃん」幹部命令でサボりだわーい、休み休み』

えらく棒読みだが本気で嫌だったのだろう、あんなつかれた顔してたくせに。

「着いてきていいから」

『いらないって言った』

「言ってねぇよ一言も」

『いいもん、リア広津さんと一緒にい「おまえは俺のところにいるんだよ、他所は許さねえぞ」…………置いてったら』

その言葉選びは狡い、おまえが一番されて嫌なことなんじゃないのかよ。

「一緒に来てくれ、頼りにしてる」

『無理しなくていいし』

「してないって、なんでさっきからそんな強情なん……?…………おい、その腕どうした」

『!……なんのこと?早く行きましょ』

こいつ、何かあったな。
/ 903ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp