第11章 珪線石の足音
「準幹部がプリプリしてる」
「プリプリしてても可憐だが」
「リア様可愛い」
「俺らの癒し」
聞こえてんぞ手前ら。
ぎろりと振り向いて睨みをきかせると途端静かになる。
手前らほんとこいつのこと好きな。
まあ黙ってりゃクソ美人だし気持ちは分からなくもないが。
俺の直轄の部隊だからかリアのファン共が多くてかなわん。
『……中原さ「だいたい手前らリアのこと取り囲みすぎなんだよいつもいつも、俺は許可した覚えはねぇぞ」ね、聞いて』
「こいつに話しかけたきゃ俺に許可取ってからにしろ」
「「「そんなあ!!?」」」
揃いも揃って馬鹿な奴らだぜ、まあ憎めねぇ奴らだが。
『…………待ってくださ、……あっ』
が、後ろで聞き慣れない音がして振り向くと、そこには膝をついて倒れそうなリアが……?
「なっ、どうした!?おまえやっぱりまだ体調が『さ、さわらないで』いやでもおまえ……」
『…………邪魔だから行くのやめとく』
「!?……いや、構わん。背中乗ってサポートしてくれりゃ『や、やだ』何もしねえから」
やけに意地を張っていたそいつの表情がよく見えないが、何やら弱っていそうなことだけは分かった気がする。
背中におぶって見ると顔を埋めてきて、服が少し湿ってきたような。
こいつ、まさか泣いて……?
「……うちの天使がお疲れだ、気張ってくぞ手前ら」
士気は上々、敵拠点への突入も、殲滅も上手くいった……上手くいったが、何せリアに元気が無い。
撤収して報告書を作って、後は首領に持っていくだけ。
そんな状態でも俺から離れようとしない彼女が気になって、ストレートに聞くことにした。
「なあ、腕……と、右足だな?見せてみ」
『へ……なんで「いいから」だ、だめ』
「仕事連れてくの禁止したりしねえから」
『…………勝手に、見たら……あっ』
触っていいという許可が降りたので手を取って袖を捲り上げる。
すると赤く腫れているのだが、思いっきり掴まれていたらしい。
「……こっちは?自分で見せられる?」
顔を背けられるので手探りで失礼させていただき、タイツを脱がせていく。
正直絵面がめちゃくちゃエロいが今は我慢だ。
「!おい、これ誰にやられた」
右の足首に、何かの痕……確実に枷か縄の痕だろ、これ。
『……』
「言わねぇなら俺は組織の全員を疑うことになる」