第11章 珪線石の足音
「とりあえず身体が元気になるまでは、俺も傍についてたいし」
『いや、あの……もう大丈夫だから』
「…………やっぱりおまえ、しばらく俺のところにいろ。俺が心配で気が気じゃねえ」
えっと、と何とか言い訳をしようとする素振りを見せられるが、そのまま思ったことを伝えていく。
「試しにでいい、嫌になったらまた戻ればいいから。俺に大事にされてみてくれませんか」
『……でもなかはらさ「ん?」…………ちゅうや、さんは……嫌、でしょ』
「なんで発案者の俺が嫌がるんだよ、俺がそうしたくてお願いしてんのに」
『首領に言われたんじゃなかったの……?』
そんなこと命令されたら断るよ、と安心させるべく撫でていると、またもや聞き覚えのあるような言葉を言い始める。
『いくら?』
「払うな」
『身体でもい「払うな、怒るぞ」……じゃあ、どうしてればいいの?』
「おまえがするのは、腹が膨れるまで食べて、寝たくなくなるまで眠って、ついでに俺に甘やかされてあげることだ。中々大変だと思うぜ?」
それだけ?なんて言う彼女に訂正を入れることにした。
「正確には俺基準で甘やかされてもらうからな?もちろんおまえが金銭ないし自分の身体を俺に提供するのはNGだ、それやったら日数をリセットしてもう一週間甘やかさせてもらう」
『いや、私が満腹とかいくら食費がかかると思ってるんですか』
「毛ほども感じねぇよそんな程度。幹部舐めんな」
『なにそれ、世間一般の親みたいなことしようとするのね中也さんて』
「そのつもりだ。おまえ、俺が養うから」
『ああそう、養うんだ……?……や、やしな……やし、なう???』
「ちゃんとした保護者が必要だと判断した。とりあえず体調がマシになるまでお試しで様子見る。好きに過ごしてもらって構わないが、勝手に俺の目の届かないところに行くのと、俺がやめろって言ったことはやめること」
もちろん良識の範囲内で反論は聞くが、と言う頃には更に頭をぐるぐるさせていたようで。
『えっと、えっと……中也さんのペットになったらい……??』
「ペットなんかいらねぇよ、リアがいれば十分だ」
『へっ』
「おまえが一番だからな俺は」
次の瞬間、唐突に低身長などとほざき始めたそいつの頭をむんず、と軽く掴む。
「いきなりなんだ反抗期かァ??」
『し、趣味悪帽子。帽子のおまけ』