第11章 珪線石の足音
「おはようございますリアちゃん!!ご機嫌はいかがかな?」
『……朝から声が大きいかも』
「そりゃあ大きくもなるだろう、私の可愛いリアちゃんが元気になったかどうか気にな『どっちに見える?』……さては私のキスが欲し____」
「今日の朝食は変態のタタキも添えようか」
『中也さんのご飯……♡』
お盆で頭上から机に叩きつけた変態はピンピンしていて、まだ意識があるからかリアからも完全に無視られる始末。
おまえマジでタフだよな。
「ふむ……中也殿、私にも朝食を頼んでも?」
『中也さんのご飯はリアのだもん』
まさかの言葉に蜻蛉と揃って振り向いた。
「……だそうだ、どうする?」
「ならば仕方あるまい……リアちゃん!!!私も同じ食事がしたいです!どうしてもリアちゃんとご飯が食べたいです!!」
『じゃあ仕方ないんじゃない?』
分かりにくいがこれはOKサインである。
「良かったな」
『中也さんはこっち……』
「はいはい、ただいま」
蜻蛉との距離が近くなったのが嫌だったらしい、腕を引かれてそのまま膝に座らせてあげた。
「にしてもそのマスクは食事中もつけてんのかァ?」
「まあな、かっこいいだろう!」
「かっこいいのかそれは」
「まるで姫君をさらう怪盗のようだろう?」
ただの変態趣味かと思っていたが、そうではなかったらしい。
いったいどういう趣味なのだろうと気になったところで、リアちゃんに耳と尻尾が生え揃っていることに気が付いた。
「……あれ、かっこいいのか?」
『へ……うん?』
「そうか、おまえの趣味だったかあれは」
『趣味っていうか……カゲ様が私のこと助けてくれるって、言うから。…………ひーろー??とかって、仮面つけてるんでしょう?』
「なるほど、あれリアがあげたの?」
『わすれた』
「ふはははは、誰に何を言われようとも外す気は無いからなあ!」
ふりふり振れてる尻尾が答えだろう、どうりで食事中でも外さないと思ったら。
素顔を見られたくないとか以前の問題だ、そりゃあそんなもの外せるわけがない。
「あとリアちゃんは私の顔を見るのが苦手だそうだからな」
「そうなのか?」
『……へ?…………えっ、だ、だってカゲ様綺麗だから』
もにょもにょしているお嬢さんは本当に照れている様子だ、つまりはタイプだったのだろう。
話してみるもんだな。