第11章 珪線石の足音
「つまり?中也さんがパパ、その人がママ、そんでこのお兄さん??」
「大家族だなこりゃ、年齢的な意味で」
『立原くんはリアの召使いさんね』
「えっ、なにその取ってつけたような無理矢理家族感。俺もそこ入らさられんの???」
『嫌なの…?』
「なんでもいいですけども」
愉快な夕食会メンバーになってきたけれど、最終的に俺の膝の上にちょこんと座って食べさせられてくれるリア様に優越感に浸らせていただいている。
さすがリア様、そうだよな、俺ん所に来てくれるよなお前は。
全くもって可愛い奴だぜ、これだからリア様はやめられねぇ…あ〜可愛い……
「…お前結局毎回中也さんの所だよな」
『うん?中也さんリアが膝に乗ってると気持ち悪いくらい可愛い可愛いって悶えてるの聞こえてくるから可愛いの』
「居心地いいのそれ!?」
『ん、落ち着く』
なんだか不本意な言い回しをされたような気はするけれど、まあいいだろう。
この場合、重要なのは過程より結果だ。
「ええぇ〜っ、でも私頑張ったのだけど〜…」
『……き、来てくれたのは…うれしかった』
「おや、こんなに素直なリアちゃん珍しい…はい、こっちは私からのお見舞いね」
『え…っうわ!?お、治さんまたこんなにいっぱいお花買ってきて…』
「じゃあ持って帰ろうか?」
『リアにくれたんじゃないの!?』
「冗談だよ。私が花束なんて贈るの、世界中でリアちゃんただ一人だからねえ」
治さん今日もう会えないと思ってた、と花束に抱きついて頬ずりするような様子に、やつはといえば微笑ましそうにニコニコしており、余裕の表情である。
「中也じゃ花束とか用意しないだろうからと思ってねえ」
「喧嘩売ってんのか手前」
『リアにお花なんてくれるもの好き治さんくらいだよ』
「もっとでっかいのまた今度俺が見せてやるからなあ!!?」
『中也さんうるさい』
「…花束とか好きだったんですか」
『ま、あ…もらったら嬉しくないですか、こういうの』
そうだった、こいつとんでもない乙女だった。
花束…?花束に弱いんですかお嬢さん。
「私がお見舞いでお花買って行った時にすごく喜んでくれてたから、習慣にしていたんだよ。折角だしと思ってね」
「リア、ああいう男にはついてっちゃダメだぞ?青鯖が移るからな」
『青鯖って移るの?』
「青鯖って何なの???」