第11章 珪線石の足音
少しの間しんどそうな顔をしてからまた身体を小さくして甘えてくる。
なるほど、俺んところにいたいからそうしてくれてたわけか。
「リア、朝よりしんどくなってないか?冷えピタ貼ろうちゃんと」
『…寒いのいや』
「……立原悪い、お使い頼まれてもらえるか」
「!俺でよければいくらでも」
「助かる」
『い、いいよ立原くん。私大丈夫だから』
「大丈夫禁止なお前」
『一緒にいてよ…っ』
「このタイミングで俺にまでデレんのかよ!!?」
『どっかいったら嫌いんなるから…、ぜっこーってやつするから!!』
キレ方が幼稚園児のそれでツボってしまったが、いたって真剣なリア様に立原はどうしようか俺に助けを求めてるくらいである。
さて、どうしたものか。
『そ…、それで、いいならどっか行っちゃえば…?』
「…じゃあ着いてくるかぁ?」
『うん…』
「即答かよ」
可愛らしさに憎めなくなるのは俺だけではないらしく、立原と共に動くべくして彼女に上着を羽織らせてから背におぶる。
『!これ』
「寒気すんだろ?気休めにでもなればいいんだけどな」
『中也さんすき、』
「おう、知ってる」
『……中也さん、だっこ』
「わかったわかった」
どうせなら御狐神の所に合流しに行くか、と厨房に向けて移動することにして、動いているうちにミニサイズリア様を見つけた目ざとい連中が増えてくる。
「リアちゃんだ〜♪」
「なんだその格好…てかなんで縮んで…?」
「リアちゃん、お手できる?」
『うん、』
「お代わり♡」
『これ楽しいの篠田さん??』
「かんわいい〜〜〜♡♡」
「やかましい!俺より触んな!!」
篠田から遠ざけた先で、村上が興味深そうに愛娘を見ていらっしゃる。
おい、何ちょっと可愛がろうとしてやがる手前まで。
「…チョコレート食うか?」
『くれるの…!?』
「たまたま持ってたからな」
『見て中也さん、チョコレート貰った〜♪』
「餌付けしてんじゃねぇぞ手前」
「すみません、なんかいつもより可愛らしいもんでつい」
「リアはいつでも可愛いだろうが!!!」
ビクゥッ、とリア本人が飛び跳ねてから放心していらっしゃるのを自分の方へ寄せた。
普段から可愛らしいだろうが、このにわか共め。
「良かったねリアちゃん、中也さんが可愛いってさ」
『ぅ…、…んん……』