第11章 珪線石の足音
彼女の目が覚めた頃には、更にその身体が縮んだような。
最早サイズは人間のそれとは言い難く、本物の狐大のサイズまで身体が小さくなっていた。
「リアちゃん〜?これどういう状態?身体しんどい??」
『……中也さんがずっと抱っこしててくれる』
「…いつもの身長でもずっと抱っこしてられますけど」
『お仕事中膝に乗せてくれるから』
「甘えたちゃんもここまでできるようになったのか」
『おにいちゃんは?』
「飯の具合見に行ってもらってる。御狐神も夕飯作ってくれてんだぞ〜?よかったなあリア♪」
『………おにいちゃんて料理できたんだ』
えっ、と立原と俺の声が重なって発せられた。
「り、リア…?御狐神って料理出来なかったのか?」
『知らない』
「お前の兄貴なんだろ?」
『おにいちゃんはリアにそんなに興味無いよ』
「…お前あの人と何拗らせてんの?なんかされたのかよあんな絵に描いたようなシスコンに」
『どうでもいいでしょそんなこと』
更に縮んでいく様子にまてまてまて、とつっこむと、びく、としてそれを止めてくれる。
「リア?俺の顔見えてる?」
『…っ、中也さぁん…』
「ん、どうした?なんでも言っていいからな??」
『中也さんはリアのだからね、』
何となくわかったような気がする。
サッカーボール大ほどの大きさになってしまった彼女を両手で包み込みながら好きに引っ付かせてやるけれど、彼女の言い分は、おそらくあれだ。
白鬼院に敵わないと、そう言いたいのだろう。
別にあいつと競ってるとかそういうことでは無いだろうけれど、本来血縁であるリアの方が先に知り合っていておかしくないはずであるし、家族であれば恋人と比べられないほどの存在に…本来なっていてもおかしくないはず、なのだろう。
「そうだぞ〜、だからそんな泣くなよ、それ以上萎んじまわないで」
『中也さん、』
「なになに?」
『中也さんといっしょにいるの』
よじよじと肩に乗ってから、頭の上にのぼってきた。
え、なにこれ可愛…
『んにゃっ、!?』
「リアあああああ!!?!?!?」
つるっと落ちていった彼女を咄嗟に両手でキャッチする。
び、びびった、床に落ちるかと思った。
「怪我は!?どっか打ってないか!!?」
『…』
ポンッ、と元の姿に戻ったところで、ぐったりとした様子になった。