第11章 珪線石の足音
「ほぉ〜、あんたがリアの兄貴かぁ。言われてみりゃどことなく雰囲気あるな」
「ただリアは僕と違って身体が昔から弱い方でして…本当はあまり無理をさせたくないんですがね。僕と住むのは嫌だとずっと断られてまして」
「そりゃあお前に気遣ってんだろ、白鬼院のこと追っかけてたんだろうし」
「んで、なんでリアはまたこんなちっこいことに…?最近多くないっすか、もしかして目覚めたんすか中也さん」
「……それがこうされてっとそれなりに父性みてぇなもんがなぁ」
ああ〜、と賛同したような立原と御狐神。
立原に関してはリアが呼べとせがんだので執務室まで来てもらったのだが、そういや立原相手には中々無茶振りもしてるような。
俺の膝の上でむぐむぐと俺のお手製おじやの残りを満足そうに召し上がってらっしゃるリアちゃん五歳様はといえば、俺がそちらを向くだけで嬉しそうに尻尾を揺らす。
こんなもん可愛いに決まってんだろ。
「リアちゃん立原と仲良いの?」
『うん、立原はリアの召使いなの!』
「お前中也さんにもそんくらいの扱いしたらいいのに?多分喜ぶぞこの人」
『中也さんの愛玩ペットはリアだけでいいの』
「真顔で何言ってんだお前、立場逆だろうがご主人様」
『リアのこと飼ってくんないの…?』
「……おじやもっと食べる?」
『もっと食べさせてくれるの!?♡』
そりゃそんな大事そうにずっと食べてんの見てたらな。
「リアがおかわりなんてするの、中原さんがいらっしゃるまで見たことありませんでしたよ」
こそっと御狐神に教えられるのに少し面食らった。
「最近食欲が旺盛になったとか?」
「リアの両親のことはおおよそ聞いていらっしゃるでしょう?」
「なるほどなぁ…?って言うとなんだ、こいつの身体が弱かったってのもそれが原因じゃ…」
……いや待てよ、家に縛り付けておくために弱らせていたんだとしたら、どうだろうか。
食う量に比例して体調を測れる程、食事に身体が左右されるこいつにだ。
普通、健康を考えれば爆食いできる時にはさせて、こいつの言う量に合わせてやるのが一番理にかなっているはずなのに。
「好きなだけ食っていいよ、また多めに作っとくし…食いきれなかったら残しとけ。俺が食うか明日食べるかすりゃあいい」
『〜〜〜っ、リア中也さんの愛玩動物好きぃ…♡』
「はいはい、もうなんでもいいや」