第11章 珪線石の足音
平熱よりも2度高かった熱とのことで、中也さんによって連れ戻されて暫く。
ベッドの中にいるのはいいが、彼の方はイキイキしているような。
『中也さんなんか嬉しそうね。暇な日に仕事見つけた時みたいな反応』
「例えが社畜みてぇだろうがそれは…いやぁ、リアの世話がし放題って考えちまってつい。悪いなぁしんどいのはお前なのにそれを嬉しがるようなこと考えて」
『いや嬉しがるポイントがおかしくないですか』
「熱出してっと甘え上手になるからなぁうちの子は」
『…なんで熱はかったの?』
「朝飯食う量控えめっぽくて気にはなってたけどな。あとなんかすげぇ素直んなってたから、頭痛えって言われて可能性はあるかと」
私より私の生態に詳しいらしいこの人はエスパーか何かなのだろうか。
覚よりよっぽどそれっぽいな。
「まあリアちゃん最近俺に血飲ませるために毎日体力使いまくってっし、疲労もあんだろ。マシなうちに治しておこうぜ」
『えっちしてもいいよ?』
「えっちは禁止です」
『じゃあ中也さんがムラムラしたらどうするの?』
「流石にここまで熱上がってる相手にはしねえって」
『リアがムラムラしたら?』
「それはそれで可愛いだろうな」
『…………へっ、変態』
ムラムラしてるのが可愛いって何。
相変わらず意味わかんないなこの人。
私はただ、看病させるのが申し訳なくてそれなりの提案をしようと試みただけなんだけど。
なんでこんなに色仕掛けが通じないかな…いやまだ仕掛けてもないんだけどさあ。
『む、胸とか見ても平気なわけ____』
ボタンを外して下着まで見せかけたところで、強制的にそれをご丁寧に第一ボタンまで止め直される。
「はいはい、熱出してんのに身体冷やすようなことしない」
『触ってもいいよ』
「お前が触って欲しいんならそれくらいはいいけど?」
『中也さんのお休み邪魔してるのになんで怒ってもくれないの…?』
「んな事考えてたのか〜〜〜?本当いい子だなぁリアちゃん♡」
『せめてオプションで時給払うとかくらい、』
払ったら怒るぞ、なんて嬉しそうに笑いながらなでこなでこと撫でくりまわして楽しそう。
「お前ほんと体調崩したら態度に出るな」
『出ないもん』
「じゃあ俺の身体引き寄せてるこのしっぽは何?」
『幻覚』
「じゃあこれ逆撫でして可愛がっても平気なんだ?」