第9章 蛍石の道標
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「まあ俺はお前が俺のこと好きなの知ってたけど」
『まっっってそれいつの話』
「入社三日目辺り」
『?…その時からリアが中也さんのこと好きって、それ思い込みじゃ…』
「お前が自覚無さすぎただけだよ阿呆、あれで好いてねぇって言われる方がびっくりだわ」
いや、いやいや、と立原やリア、それに篠田からつっこまれ、村上からはドン引かれている。
「言っとくけど風邪ひいてる時と寝起きと死ぬほど素直だからな?お前」
『リア何言ったの!?』
「高熱出してる時なんかキスまで強請られたことあるけど?俺」
『リアが!!?!?』
本気で覚えてなかったそうだ。
頭を抱えて焦り散らしてやがる。
「その上普段あんなだったくせして抱きついてくるわおんぶは強請るわ離れたらぐずるわ…」
「…あ!?思い出した、中也さんがリアのこといきなり姫抱きしてた日だ、あったあった!!!」
『あったんですか、!?』
「どう考えても俺のこと好きだろお前??」
『ふええええ、っっ』
しかもあの後店違う場所にとか言い始めて、結局普通にリーズナブルなものをとせがんで半泣きになられてしぶしぶ了承…しかもきっちり折半していつの間にか半分会計を済まされていたしで、最初の威勢の割にいい子なんだよなぁほんと。
「食事デートに誘ってくれちまったくらいだってのに、熱下がったら下がったで記憶ねぇとかほざいてっし」
『そんなことありましたっけ…??』
「どっかの誰かさんが焼肉奢れっつーから連れてこうとしたのに結局普通に焼肉食べ放題行って?しかも俺が知らねぇうちに自分の分レジで会計済ませてて??家まで送るっつってんのに勝手に帰りやがった話だなぁリアちゃん??」
いい子かよクソが。
「うっわ、めっちゃいい子…」
「リアちゃんそれはツンデレが過ぎるのでは…?」
『つ、ツンデレじゃないもんリア!!』
じゃあいい子だ。
いい子。
繰り返されるそれに涙目になって恥ずかしがるそいつ。
あー可愛。
「ま、普通俺のとこにいたいからなんて理由でマフィアなんざになる女いねぇって」
「…えっ、リアお前それで入ったのか?ポートマフィア」
『な、…っん、で中也さんがそれ、っえ…』
「お前が首領に愚痴ってんのと俺に甘えてきてる時に散々言ってた」
『リアちょっと地面に埋まってくるぅ…ッッ!!!!』