第8章 タイムリミットとクローバー
ウインドウショッピングなるものをしつつ、時折気になったものを試着してみたり…というか遠慮して仕方が無いので無理矢理させてみたり。
普段あまり彼女のつけないようなアクセサリーなんかは見ていて新鮮らしく、目をまん丸にさせながら興味深そうに見ているようで。
絶対に何も買うなと喫茶店を出る前に釘を刺されてしまった手前、手が出しづらい。
いつもいつも、何をするにしても俺が出してばかりだそうだ…が、正直それのどこに問題があるのかをお聞かせ願いたいところ。
構わないのに、そんなこと。
『…中也さんはアクセサリーとかあんまり興味無い?』
「俺はどっちかっつうと今すぐお前になんでもかんでもつけてやりたい」
『中也さんの好みを聞いてるんだけど…』
若干引かれた。
しかし事実に変わりはない。
「つっても俺、知ってると思うけどそもそも普段つけねぇしな。仕事に行くのになんかそれこそチョーカーで十分だし」
『…そっか』
見るからに雰囲気がシュンとしていく。
あれ、待って俺今どこでやらかした???
「……ま、まあシンプルなもんなら割と好きだな。小ぶりなやつとか」
『!し、シンプル??』
あからさまに食いついてきた。
超瞳きらきら輝かせてる。
あれっ、こいつもしかして買い物よりもこっちの方が楽しんでないか?
「華やかなもんはお前がつけてりゃ似合うだろうけど、俺は別になぁ…?」
『ブレスレットとか?ネックレスはチョーカーの方が好きだもんね』
「あーいや、手首は流石に。任務があるとあれだし」
『…か、髪の毛にリボンつける??』
「お前俺の事実は嫌いじゃないよな」
めちゃくちゃ首振って否定された。
そんなに怯えなくても冗談だったつもりが…って、こいつ覚りの力もってなかったっけ。
ずっと、思ってはいたことだが。
残夏曰く、あまり使いたがらないその力を俺には割と気さくに使ってくれていたということだったのだけれど、どうもそんな気配が微塵も感じられない。
読まれても構わないのに。
「まあ、なんだ。装飾品は俺は贈る方が好きだし…自分がつけるならリアとの婚約指輪で十分だ」
少し、和ませようとして放った一言。
それに、顔を真っ赤にさせてかたまってしまう子狐リア様。
…あ?
『……り、リア指輪買おうかな』
「ちょっと待てお前!!?それ俺の役目だから!!!!」