第8章 タイムリミットとクローバー
どうやら、身体を重ねることひとつ取っても、俺より彼女の方が相当に遠慮しいであることを理解した。
彼女のナカで達させてもらった後にお礼も込めて撫でてやるのだけれど、どこか切なそうな表情をするので、思わず口付けてしまえばそれで正解だったらしく、キスひとつ強請るのが億劫になってしまう程には今の俺に失礼がないかどうか、考えて考えて雁字搦めになっているようだ。
そこまでして俺を想ってくれるような奴を、俺が無碍に扱っていいわけがない。
ここまでして、俺に全てを捧げてくれようとする彼女に応えない男でいて、いいはずがない。
理屈でも、情でも、どちらも俺が決意を固めるのには十二分すぎる相手だと再認識する。
『ン、ん…ッ………は、ぁ…っ♡ぁ、離れちゃや……だ、あ…なんでもな、ッ!!、…んん…♡』
ピロートークごときじゃねえ、とんだ寂しがり屋。
正直やってしまったという感覚が強い分、構っていただくことさえ烏滸がましく感じてしまうほどではあるのだが…応えないわけにはいかない。
それに、確かに幸せを感じている自分がいる。
彼女のナカを味わってから引き抜いて、またすぐに抱きしめて、抱きつかれて、ちゃんとお前に見合う男になれるようにと、また何度も唇を重ねた。
「ん…もっと言っていいぞ、リア。…ありがとう……頑張ってくれて」
『〜〜〜っっ、!!、?♡…、なん、っそんな、男らしいとか聞いてな…ッ』
顔を更にぶわぁっ、と真っ赤にさせて、即座に横を向いて隠される。
…ど、どういう反応だ?これは。
記憶…が、無いような、感覚がするぞこればかりは。
見覚えが、ない…と、思う。
「り、リア…?」
『…い、っつも、もっとなよなよしてるくせ、にッ……いき、なりかっこい、ことしないで…くださっ、』
なよなよしてんのか!?
俺が!!?
ひっく、ひっくと泣きじゃくり始める彼女は何を思っているのか…恐らく、記憶のある頃の俺の事だろう。
『っ…がまん、してない…?リア、に…何か、あの…』
「!してない…俺はお前に遠慮しねえよ」
ちゅ、と軽く額に口付けてやるとそのまま腕を回されて、彼女はそれを声に乗せて、紛れもなく、今の俺に向けて言ってくれたのだ。
『……、二回、も…惚れさせ、られるとか…悔し、ッ』
「そ、れ…おま…、」
『ちゅや、さん…リア…恋人で、いい?』
どっちの方が男前だ。