第8章 タイムリミットとクローバー
「膝立てて」
『じ、ぶんで履ける…』
「じゃあノーパンで外出る?」
『な、なんでそうなるの…別にいいけど、それくらい』
「スカート履かせるけど」
『だから別にいいって、それくらい』
ベッドに横たわらせた彼女に下着を履かせようとするとやはり恥ずかしがられてしまったので、自分の欲をかいて説得しようと持ち出した無茶振りに何故か了承されてしまって困惑する。
いや、何がいいのか俺にはさっぱり分からねえ。
「?外出るんだぞ??」
『…だから、別に私…裸見られるのくらい、慣れてるから』
慣れてる奴がなんでさっきからこんなに恥ずかしがってるんだって。
残夏に、色々話を聞かなければ思っていたであろうか。
「それって、俺が命令すれば誰にでも喜んで脚開くってこと?」
『っえ、…や、それは…』
我ながら、意地の悪い質問をする。
この少女はその辺の善し悪しを、恐らく自分で判断できなくなっている。
自分の体を男の性欲処理の為の道具としてしか認識できないほどには、この身体を大切に思ってはくれないのだ。
聞いた話でしかなかったため、試すようなことを繰り返してはいるがどうやらそれは本当のことらしく、今の俺ができる事として、人並みの幸せをこの子に感じさせてやるためにまやはりそこに向き合ってもらうしかないのだろうという結論に至った。
だからといって無理難題を押し付けてはいけないが、こいつは…
『…中、也……さん、がそれがい、いなら…頑張る、よ』
もしも俺がそんな馬鹿げた事を提案すれば、たとえ自分がどれだけ嫌でも、それを実行してしまうらしい。
なんて危うい奴だ。
「お前の気持ちは」
『……だから、いいって』
「もう一度聞く。リアの…気持ちは、無視か?」
『…中也さん、が言うなら…なんでもできるもん。……リア、いい子に___』
震えきってるくせして、俺のため。
身体の方がよっぽど正直じゃねえか。
「俺が、お前が嫌だって断ったらリアのこと嫌いになっちまうと思ってる?」
『……ちが、う…だって、リアがどうかより、中也さんが満たされることの方が大事なの』
「俺そんな大層な人間じゃねえんだけど」
『それで、あの…それで、嬉しくなってくれたら、いいの…っ』
本気で、そう思っているらしい。
「したくない事なら、したくないって教えて欲しいな俺は」
『え…』