第8章 タイムリミットとクローバー
本番行為に及ぶのはさすがに踏みとどまったのだが、何度か達して休憩を挟んでまたゆったりと再開してとしているうちに、やけにリアの方から甘えてきてくれるようになった。
というか、まあ、本来はこれくらい甘えたな奴だったのだろうけれど。
『な、んで…そ、んな上手い、の……』
「身体が覚えてたらしいな」
そんなわけが、あるだろうか。
明らかに、行為中、今の俺とは違う人格の自分に乗っ取られかけていたような気がするほどにはふわふわした感覚になっていて。
だからこそ本番にはのぞめなかった。
こんな状態で抱くんじゃないと、自分の本能がストップをかけたのだ。
この女はその程度の想いで抱いていい奴じゃないと。
他の誰でもない、俺が。
「ずっとこんな風にくっついてていいのに、お前」
『…なんで、』
「俺お前に触れられてっと安心するみたいだから」
『………お願い、なら…聞いたげる』
「あんまり可愛いことされっとまたいじめたくなるんだよなこれが」
『いじめていいです中也さん…♡♡』
「はいはい、分かった分かった。また次な?とりあえず洗ってやるから…って、違うか、鱗と鰭を………ってそうだ、スポンジあんのか?」
『……??』
「星型スポンジ」
『あー…そんなのありましたね』
ふと思いついたそれは正しかったらしいが、やけにゲンナリした様子のリア。
「な、なんだよその顔?」
『中也さんって結局リアのこと餓鬼としか思ってないんだろうなぁって思ったこと思い出したの』
「何言ってんだお前、俺が餓鬼としか思ってねえような相手抱くわけねぇだろ」
『……なんか中也さん女々しくなくなった。なんで!?なんか男らしくなっててムカつく!女慣れしてそう!!』
「だああああっ、してねえよ!!?なんなんだお前のその推理!?しかも褒めてんのかディスってんのかどっちだよ!」
『!?、………ディスってる!!』
褒めてねえのか。
「えっ、ちょ…ど、どうすれば改善すんだそれ!?」
『う、ううう嘘だからね中也さん!!?』
「お前ほんとなんでそんなにちょろいの???」
『ちょろくないもん!!!』
「おーよしよし、ちょろくないなお前は。可愛いだけだ、訂正しよう」
『…中也さん優し……♡♡』
「お前マジで俺になんて言いくるめられたの??警察行ってもいいんだぞ?」
『ちょろくないもん』