第8章 タイムリミットとクローバー
『……な、んで中也さ、んが…っあ、ま、待って今裸…ッ』
「あ、あああ!!?す、すまん!!!」
急いで顔を背けると、こちらに入ってくる他の三人。
「おー、リアちゃんこっちで入ってんの珍しいじゃん。どしたの」
『れ、連勝…、』
「中也さん、リアちゃんが溺れてるんじゃないかって心配しちゃったんだって」
『り、リアが溺れ…?』
ぽかんとしたような、言い方。
それから、温まった肌が柔らかくて気が狂いそうになる。
「ぶ、無事ならいい!!っ、悪かった…み、見てねえからな!!?」
『え、…中也さ「邪魔したな、悪い!!外で待ってる!!!」えっ、あ…』
「まあまあ中也たん、ステイステ〜イ」
外に飛び出していこうとしたところで、心臓がおかしくなりそうなのに俺を止めるのは夏目。
「っんだよ!、?別に危険がなかったんだから大丈夫だろ!!?」
「ノンノン、その前に…あの子の姿に疑問はないわけ?」
「!!!、っ…先祖返り…なの、か?」
「その通り。人魚と…狐と“覚り”のね」
そうか、おかしいとは思ってたんだ。
なんで、こいつの案内する家とやらがこの妖館なんだろうって。
もしかしてとは、思っていたけど。
「てなわけだから、洗ってあげなよ」
「お、俺がか!!?」
「一昨日洗ってたし問題ないよ?それにリアちゃん、君にあの姿受け入れて貰えるかどうか心底心配してたみたいだし」
そんな、ことをか。
いや、本人にしてみたら相当なことなのかもしれないが。
「……お、おい…リア、?」
『!な、…何』
「…背中、流してやろうか……?」
え、と消え入るような声でこだまする声。
しかし何に安心したのか、雪小路も反ノ塚も、嬉しそうにして次々と外に出て行って。
『いい、の…?』
「……おう」
何かの膜に包まれて濡れないようにされている、俺もどきのぬいぐるみを抱きしめながら、彼女は嬉しそうにはにかんだのだ。
「じゃあそゆことだから、ごゆっくり☆上がったらまたラウンジにおいでよ、一緒に」
「一緒にな…了解。さんきゅ、」
「どういたしまして♪」
気を利かせてくれてしまったらしい。
俺が踏み込みきれない部分も、リアが話したくても勇気の持てない部分も、全部分かっててやってくれたんだろう。
「…綺麗だよ、リア」
『……あり、がと』
「ん…すぐ服脱いでくるわ」