第8章 タイムリミットとクローバー
場所を移して、口外厳禁ということを伝えて黒蜥蜴の三人、そして武装探偵社の三人にも引いてもらい、探偵社の客間にてまずは彼女にお茶を出す。
「…君が視たそれを回避するために、何とかしたい。そういうことでいいかい」
『……ん、』
「森さん、なんでこんなことになったか分かりますよね?分かりますよね??」
「い、や…理解は、したよ。原因が僕だということも分かったけどその………リアちゃん、それが視えたのいつだったの、?」
『…中也さんが死ぬ未来、見た日』
これはまた重いものを…
というか、あいつが死ぬ?リアちゃんの力を疑ったことなどただの一度もないけれど、そればかりは疑わしい。
だってあいつだよ??
「その時点でもうQは出してたわけでしょ?取り返しつかなかったんじゃん」
出さなければ起こりえなかった未来だからこそ、視えなかったのかもしれないが。
『回避する手段が無いの…いくら考えても、絶対、どうにもならないの』
「…奪還作戦を後日にすると?」
『同じ方法でまたヨコハマが焼かれますよ』
「なるほど、どの道Qを取り返しに行くことが確定してる時点で防ぎようがないんだ?」
まずはそこ。
原因自体を回避できないかと言う考えだが、奪還作戦にあいつの力は必要不可欠。
リアちゃんの力で視た未来としてもそうらしく、組合の幹部が二人…それも、片方は人間ではない人知を超えた力の持ち主であるそうで。
そもそも殺すことが不可能、どう足掻こうが復活する未来が確定している。
リアちゃんを一人でぶつけてしまえばほぼ唯一に近い方法でその息の根を止めることができるらしいが、一人で妖怪の…それも人魚の方の力を扱うとなれば死を覚悟するレベルの妖怪達に襲われることとなる。
となれば、中也を完全に足止めしてそちらに向かわせないようにし、且つ予測される大軍からリアちゃんを守り切らなければならないが。
『中也さんを止めるなら薬でも使って先に仕込まないと無理。けれど確かにあの人抜きに…恐らく千は集まる純血の妖怪を相手取るなんて、戦争の真っ只中に出来たものじゃない』
そんな場所に異能の無効化能力しか持たない私などいい人質だし、妖館の面々を赴かせるだなんて暴挙もいいところだ。
解決策…というか、中也が被害を回避する唯一の手段が、この子が殺されることだなんて。
そんな話が、あっていいのか。
