第7章 燐灰石の秘め事
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『クレープ…』
「ん?クレープって…食いてぇなら作るけど?」
『!?ち、ちちちち違うから!!』
「なんだよ、遠慮すんなって。ほら、厨房行くぞ」
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「どうしたも何も、リアちゃんこっちの作業手伝ってくれてたんじゃないかと思いまして…つい」
「谷崎君、いい判断力だ。私が台車で運ぼうとしていたこれを全て車に積んで、それを運転して設置して回るのをほとんどやってくれたのだよ」
いやぁありがたいね、なんてにやけられるのをよそに、中也さんへの罪悪感にかられつつも分身の方へも意識を削ぐ。
「娘、車の運転ができるのか?」
『まあ、これでも悟りの先祖返りなもので……ああ、法的には完全にまだアウトなんで見逃してくださいね?』
「重かったでしょうこの装置。はい、とりあえず手持ちがチョコレートしかないんだけどどうぞ♪」
「だからなんでそんなにじゃれているんだ!!」
有難く差し出されるチョコの包みに手を伸ばし、耳と尻尾を生やしていたのをまた引っ込めてから表情を引き締めなおす。
『そっ、そそそそうですよ!抗争中に敵組織の人間になんでそんなに警戒心無いんですか、相手が私じゃなかったらアウトなんですからね!?』
「え?だってリアちゃん、探偵社の事襲ったりしないでしょう?」
『な、っ…』
「太宰さん絡みの恩っていうより、敵対意識持ってるような子がこんなこと手伝ってくれたりなんかしないよ。それに太宰さんが入院してからずっといるの知ってたし」
ジロ、と太宰さんに目を向けられるのに瞬時に顔を背ける。
なんでバレてんの。
『ち、ちちちち違うもん、分身だもんこんなの…は、はああ!?太宰さんが入院したとかどうでもいいし!!』
「入院して意識取り戻した直後に真っ先にお見舞いに来た子がよく言うよ」
『たまたまお花屋さんデートした帰りに寄ったら太宰さんが寝てただけだもん!!あんなの昼寝よ昼寝!』
「じゃあなんで今日こんな力仕事なのに手伝ってくれちゃってるの?」
『そんなの太宰さん大怪我してるのにこんなことして傷が開きでもしたらどうす……、…筋トレしたかっただけだもん…ッ、ばーか!!ばああああか!!!』
すぐさま谷崎さんの背後に走っていき、隠れる。
「リアちゃん本当に太宰さん大好きなんだねぇ、微笑ましいよ」
『…ち、がうもん』
罪滅ぼし程度だし、こんな事