第7章 燐灰石の秘め事
『大人しくしてた方が楽だって、言うから…迷惑かけないようにしてたのに』
「他の野郎にホイホイ着いてったって聞いたぞ俺は…抱かせたか?」
『別に、抱かせてない』
「触られた?」
『多少は…肩くらい』
「何触らせてんだ、他の奴に」
『っ、もう、何!!?置いてった人は黙っててくんない!!?』
どうせ自分は仕事してたから、いいじゃない。
なんで私のことにいちいちケチつけてくるのよ、そっちの方を取ったくせに。
「どこぞの野郎にくれてやりたくなかったから、拠点にいてくれっつったんだけど…分かってねえな?その様子じゃ」
『え…、……な、なんで、そんなこと…?』
「俺が惚れるほどのいい女がこんな街うろうろしてて、一人でいんのに声掛けねえ男しかいないわけがねえだろうが」
途端に、困惑し始める。
『…?なん、で?折角消えたんだか、ら…ほっとけば、解放されたのに』
「……自分のこと、本人が大事にしてやれねえのに俺が放っておけると思うか、?…お前、低体温になりすぎてマジで生死の境さまよってたんだぞ、…こんなに体冷たくして、見つけたら見つけたで……俺の、部屋とか…っ」
『…いらないん、じゃ』
「誰が言ったよそんなこと…っ、お前、また読んでなかったのか、?……万が一にも、億が一にでもいなくなって欲しくねえから…叩いちまったってのに、」
そっと頬を撫でられるのに身体を力ませるも、痛くはされない。
『……だ、っ…で、も……一緒、いたくない、んじゃ…』
「それも、言ってない…言い方が悪かった。それも俺が悪ぃ……だからお前は自分を責めなくていい。けど、…俺がお前のこと、どうでもいいと思ってんなら、あんな風にお前に言ったりしねえから」
『…り、あね…?自殺、するのね、?我慢、したの…頑張って、我慢した、の…』
突然に変わる話に、何を求めているのか、彼は分かってくれたらしい。
ゆっくりとまた、私を抱き寄せて…たくさん、撫でてくれて。
「そ、っか…偉い、じゃん。……ありがとう、…ありがとな」
『……ッ、…寂、しかっ、た…ぁ、…怖かった、あ…っ』
「…首領、すみません。その…次、から……どこかの部隊も、連れて行く許可をくれませんか」
「!成程、それなら…“自信”、あるんだね?」
はい、と言った彼の言葉の意図が分からずに、泣き止んで首を傾げると、額にキスされた。