第6章 スカビオサの予兆
「あっははははッ!!!wwそれで病室入ってきたの!?この私の病室に!!?www」
『はい太宰さん、林檎』
「ん、ありがとうリアちゃん♡食べさせて」
『えっ、い、いいけど…』
「やめろや手前!!?おいリア!そいつ食わせてやらなくても自分で食えんぞ絶対!!!」
『?なんで中也さんが止めるの、いいじゃないですか食べさせたげるくらい』
ぐぬぬぬぬ、と何も言い返せない状況に笑い転げてやがる太宰。
元気じゃねえかこいつ、心配して損し…そうだよ、心配してたのにリアが。
リアがな。
損したじゃねえかリアが!!
「いいんだよそんな奴自分で食わせときゃ!!」
『はい太宰さん、あーん』
「あーん♡」
リアの奴無視しやがった。
なんだ!?お前マジでそういう天然はよくねえぞほんと!!
『…骨、治そうか?』
「いんや、遠慮しておくよ。気持ちだけ受け取っとく、ありがと」
「気持ちだけでいいんならそれ以上林檎もいらねえな?一発でいいから殴らせろ」
『怪我人に殴るとかどんな人よ、パワハラってこういうことよね。超物理』
「パワハラされたことあるのかいリアちゃん?」
『毎日クソ上司がね?』
はい待てそこ、何意気投合してやがる。
「そっかぁ、じゃあもうそんな組織やめて探偵社に来ちゃいなよ」
『言っとくけど私自殺マニアの面倒見る気無いから。…ああもう貸して、まだ力入んないんでしょどうせ』
「…ありがと」
自力でフォークを使おうとした太宰からそれをとっとと取り上げてしまい、続けて介抱するリア。
見れば見るほど、似合ってるというか信頼感を感じさせられるというか。
まあ、この状況で反対するほど余裕が無いわけじゃねえけど。
多分これがリアの素なんだろうし。
太宰の野郎まで予想外とでも言うようにぽかんとしてやがるのが証拠だ。
『というか、いいんですか?探偵社の人に食べさせてもらわなくて』
「誰かこんなふうにしてくれる人がいると思う?」
『いるでしょ、女たらしなんだからそんな相手くらいいくらでも』
「ははっ、すごい言われよう…まあでもほら、私恋愛ごとに縛られるの嫌だから。本気で好意持たれると冷めちゃうんだよ」
…どこがだよ、目の前の相手に本気になんの我慢してるようにしか見えねぇぞ俺には。
『ふぅん?じゃあまた全力で甘えついてみよっかなぁ』
「はっは、ヤメテ」