第5章 蛋白石の下準備
撫でられてるだけで、飛んじゃいそう。
不思議、この人にされてるってだけで、こんなにも違う。
『ん、…い、っちゃぅ、から…はな、して…』
「…嫌か?」
『……き、たな…いの、……漏らしちゃう、から』
「きたなくねぇよ。…大丈夫、もっと可愛く思うだけだ」
『ぬ、濡らしちゃ中原さんが嫌じゃな「唆るだけだよ、嫌じゃない。…前のあれは、本心じゃない」……、じゃ、ぁ…恥ずか、し…ぃ、!』
ピタリと、指が止まる。
それに息を吐いて、ホッとした。
達するのが、恥ずかしいだなんて。
まともにそんな風に思えたの、いつぶりなんだろ。
「……達してんの、すげぇ可愛いけど?」
『ま、った…そ、いうこと…』
「しょうがねえだろ、事実なんだから。まあ、これからの楽しみで取っておくけど?全然」
ふと、また視える未来。
変わらない…変わってない。
なんでさっきから、こんなもの…
多分、何か未来でデジャブがあるのだろう。
そうじゃなきゃ、こんなに唐突に…視ないようにしているものが視えることなんてない。
余程の出来事だからこそ視えるのだけれど、無意識にキャッチさせられてしまうほどの、こんな未来。
『……、きょ、うは…も、……無理、かも』
もらったクッションを裏返し、NOの面を彼に向ける。
すると、何も言わずに彼は私を抱きとめて、それから大きく…いっぱい、撫でてくれた。
「…着いてるから、ちゃんと。……そんな未来なら、俺の手でぶち壊してやるからよ」
『……ん、』
縋れるものが、宛もない彼の言葉のみだなんて。
信じられるほど、私の頭は能天気ではない。
鵜呑みにできるほど、事態は軽いものではない。
「………少し休むか?…寝てもいいぞ」
読まれてしまったのだろうか。
一気に読み取るものが多すぎて…それが大きすぎて、疲れた。
なんだか、もうしばらく何も考えたくないような。
この平和をただただ享受して、ただただ甘えていたいような。
『…い、っしょ、?……いな、くなっちゃわな、い…??』
「ならねえよ…俺が離れちまったらお前、目ェ覚めちまうじゃねえの」
そうじゃ、ないのに。
言いたかったのは、もっと…
『そんな、のどうでもいい…』
「良くないさ…お前が俺を大事にしてくれるように、俺もリアが大事なんだから」
『…好き』
「…俺も好きだよ」
…大好き、なの