第4章 培われしは藍晶石の光輝
「嘘はよくないなあリア?貴様の事ならなんでもお見通しだ…勿論?貴様が今日、どうしてそんな風に一人で外に出たがったのかもな!」
『やっぱり盗聴してるんだ?ご苦労な事ね、こんな奴の声聞いてて楽しい?…ああ、楽しくなさそうな声聞くのが好きなのかしら?自称ドSの蜻蛉様?』
「…リア、貴様相当に自分に自信が無いな?知ってはいたが…やけに自虐的ではないか。貴様の女らしさなら、私がいくらでも保証してやるぞ!!」
あーあ、嫌いだわ。
これだから空気読まないこの人って厄介なのよね。
「時に中原中也!!貴様、この肉便器のどこが好きだ!!」
「はっ!?肉便…っ、!!!?なっ、え、お前らそういう間柄な『…どう見えんのよ』!!……この男が、そう言ってるだけ…か?」
正直に言うと、驚いた。
勘違いされてもいいくらいには、私はこの男に心を許していることを知っていたはずだからだ。
『…見破られてるわよ、この童貞』
「……リアちゃん、それは言ってはいけな『童貞』……」
「とどめ刺されてんぞ、俺を含めて」
『……残念ね蜻蛉様。生憎、この人は私が気が置けない間柄だから好意的に思ってくれてるって人なのよ』
ちゃんと理解してるつもりだ。
これでも、自分の身の程くらいは弁えてる…高望みするべきじゃないってことも。
「ふむ?そうなのか?…どこからどう見ても、私に対する嫉妬心丸出しの男にしか見えんが」
『そんなの無いわよ…別に、私に執着とかしてないだろうから』
そこまで、食べたいわけじゃなかったようだし。
私のご飯、食べたいって言ってくれたの…嬉しかった気がするのに。
「執着って、おま…っ」
『だ、って…だって、中原さんが教えてくれたんだもん。好きって、そういうのだって…親しい人にも妬いちゃうようなのがその印だって』
ぴたりと勢いの止むその人に、声が震え始める。
言うのも知るのも怖い…こんな風になるなら、最初から望まなきゃよかった。
『だ、から…試しにきいて、も……わ、わたしに妬くような魅力なんか、やっぱり無いし……料理だって、そんなに欲しいわけじゃなかったって…』
「…だ、そうだが…そうなのか?」
「は?…お前、…!お前まさか、本気で俺の言葉真に受けて“言葉のまんま”受け取っちまってたのかよ!!?」
『中原さん、リアに嘘つかないって約束したもん…っ!!』