第4章 培われしは藍晶石の光輝
再びラウンジに戻れば、声をかけた全員がその場に集まって私の作ったものを食べていた。
多めに作っといてよかった。
本当は全部…全部全部、中也さんのために作ったものだったのだけれど。
「白縹さんは料理も上手いのか…いい奥さんになれそうだな」
『貰い手いないから安心してよ凜々蝶ちゃん』
「えっ、中原さんはどうな「リアが嫁に!!?誰のだよ!!!」渡狸君!?」
途端にこちらにかけてきた渡狸。
そういえば知らなかったっけ。
『さぁ?…私、多分女の子として魅力ない子だから』
一斉にフリーズするその場に、残夏君の「地雷踏み抜いたねぇちよたん〜…」という声が小さく響いた。
「ぼ、僕か!?僕がなにかしてしまったのか!!?」
『凜々蝶ちゃん何にも悪くないよ♡悪いのは私だから…はい、あーん♡』
「んぐ、っ……お、美味しい…」
『…そっか。よかった』
嬉しいのは、嬉しい。
けど、やっぱりこれじゃない。
これじゃないの、私があの人に求めてしまったのは。
「…リアちゃんのご飯久しぶりに食べた。いつも作ってくれるお菓子より、なんか愛情こもってる…気がする」
『そうかな?ご飯だからじゃない?』
「大事な人に作った味、する」
『…カルタ、結婚する?毎日五食とおやつでいかが?』
「結婚するー!!!」
「「ちょっと待てぇえええ!!!!」」
渡狸と中也の声が重なった。
まあどうでもいいけど。
「リアが手料理を振る舞うなど、何かよからぬ者が戻ってきそうな予感が…というか、誰の為にこんなにご飯を作ったんです?」
『私の料理食べもしないそう君になんか教えない』
「…これは困りましたね。……中原さんは、蜻蛉様ではありませんよ」
次の瞬間、私に向けて当然のことを言ったそう君に向けて、どこからかバシャッ、と水がかけられる。
私の手元からだ。
『………ごめん、今…やめて、それ』
「僕の方こそ、いじめすぎましたね…僕のためにと作ってくれた料理なら、喜んで食べさせてもらいますよ」
分かってる…分かってくれてる。
私が誰の為に作ったものなのか、すぐにこの人達にはバレちゃってる。
『…寒く、ない?』
「本気も出してないリアにやられたところで、何とも」
『そ、う……ごめん、なさい。…お風呂行ってくる』
「!…相当ですね、それは。…逆上せない内に上がってくるように」