第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
それ以上のことに踏み込む勇気は無いまま、朝が来た。
彼女の声に起こされるのは夜のことなのに、まさか朝からそんなことになるとは思わなかったわけなのだが。
『…、ら、さ…な、なかは、ち、近…っ』
「んぁ?…何言ってんだよ、もうちょい寝かせろ…」
『ひ、っ…ぁ、…な、なん…!?』
ぎゅう、と抱き心地の良いそいつをすっぽりと腕におさめてしまい、そのまま可愛らしいそいつの頭を撫でて落ち着かせてやる。
「ハイハイ、いい子だからもうちょい大人しくしてて」
『!!!?』
文字通り大人しくなったリアをよーしよーしと撫でながら、眠いながらにもキスして可愛がって、心地よくなってきた。
「あー可愛……なんでそんな懐っこいのお前。他にしてたら殺すマジで…」
『あ、あの…朝からそんな褒め殺さな…っ、は、恥ずかし…』
「恥ずかしいって、何そんな大袈裟な事言っ…___」
ようやく開いた目で気が付いた。
ああ、俺はまたやったと。
顔も耳も真っ赤にさせたそいつは尾を九本生やしきって動揺しきっており、完全に目が女のそれになりかけていて。
…そういやこいつ、この時期に変化しちまうと発情期で大変なんだっけか…?
「……悪い、目ェ覚めた。どうしたらいいこの場合」
『ぁ、…ぅ…、……ち、ちか…ぃ…っ』
両手で必死に顔を覆うそいつ。
あーやっべ、クソ可愛いわどうしよう離してやれねぇこのままじゃ。
「ん?…何、近いの嫌か?俺はお前とくっつけるからすげぇ嬉しいけど」
『……、も、うらめ…ばかんなってる、から…離れて…ッ、あそこ、ダメんなってるからっ…離れ…♡』
こりゃ俺が目ェ覚ますずっと前から起きてやがったな。
「…前戯までなら、シていい?」
『!!!…え、…あ、へ…?な、何言っ…♡』
「そのままずっと耐えさせんのも見てて辛そうだし。…見ててこっちまでその気になってきちまうし」
『朝なのに嫌っ…、み、みみみ見える、のやだ!!!』
「ん、じゃあ布団の中ででいいから。このまんまじゃ俺の我慢がきかなくなる」
揺れる尻尾に、涙ぐんだ目。
知ってる、見られるのが苦手なこと。
女として可愛がられるの、本当は物凄く怖いってこと。
『ほ、んと…?ほんとに、…見ない…?』
「顔、キスしたいから見ちまうけど約束する。…馬鹿にもしない」
『!!!!…、挿れ、て……くだ、さい…ッ』