第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
「…なんであんな無茶したんだよ今日」
『……無茶とかしてない』
「あの場であんなことなって、もし動画とかじゃなくて手ぇ出されてたらどうしてたんだ?…お前、女の子なんだから」
そう君に半ば脅される形で強制的に駐車場までおぶられ、運ばれる。
やっと戻ってきた、やっと私だけの場所に帰ってきた、なんて安心してついつい表情だってゆるみきって。
『そう君いたから、大丈夫かなって』
「そこは俺じゃないのね?」
『……中原さんにそういうの、あんまりお願いしたくない』
「そんなこと言ったら俺はなんのためのシークレットサービスなんだよ」
『怪我、しちゃ嫌』
ピクリと、彼の耳が私の声に集中した。
「怪我って…俺が?すると思ってんのかあんな餓鬼共相手にして」
『痛いのも嫌…嫌なのは嫌』
「……そんなこと言ってちゃ、俺部屋から出れなくなっちまうぞ?お前の心配性も中々度が過ぎる…心配性っつうか、怖がりなのかやっぱ」
『…中原さんのこと監禁したくなっちゃうの』
「無理だろ。俺じゃあどうしたって逃げ出せる…それに俺は飼われる方じゃなくて飼う方が性に合ってんだ。なんなら寧ろお前の方を部屋ん中に置いときたいくら、…い……?」
私と、一緒だった。
そんなふうに考えてるの、私だけじゃなかった。
『いいよ、置いてて…ずっとリアのこと飼ってお世話して、面倒見て』
「学校あんだろうが」
『中原さんの犬になれるならそれでいい』
「お前な…」
車に到着すれば、助手席に座らされ…しかしそこから足に手を添えられて靴を脱がされる。
触れられる擽ったさにピク、と震えるのだけれど、そのまま口付けられてしまえば何故か何かに満たされて、無下にも扱えないけれど恥ずかしくて。
「…俺が、お前の犬なんだろ?立場、弁えろよ…それともなんだ、まだ分かってない?」
次第に指にキスされ、啄まれたり舌で撫でられたり、段々と私の身体を昂らせようとしてくる。
『ぁ…わ、かった…ッ……わか、…っ♡……っふ、ぅ…♡』
「お前脚感じやすいのか…腰くねってんぞ。……可愛い奴」
運転席側に凭れるように仰け反って、必死によがるような声をどこかに逃がそうとするのだけれど、相手に心を許しているだけでこんな声が出るだなんて思わなくて自分で自分が分からない。
少ししてからまたそこに口付けられて、頭を撫でて離られた。