第6章 賽は投げられた
今日は散歩の日だ。
隣を歩くのはうらたぬきと志麻。
普通に会話をしているつもりなのだろうが、幾分か雰囲気が硬い。
やはり、緊張しているのだろう。
今、私は誰かに撃たれてもおかしくなのだから。
『本当に今日はいい天気ね。散歩日和だわ』
「そうですね。今日はぽかぽかして暖かいです」
『こんな時はお昼寝でもしたくなるわね』
「確かにいいですね。本当はもっと長く外に出れたらいいんですが」
『仕方ないわよ。今はファミリー全体が忙しい時だもの。本当は散歩もなしで良いのよ』
「それはいけません。luzにも太陽の光を浴びるように言われてるし」
そんな会話をしているうちに散歩も終わる。
屋敷に入ると、坂田がいた。右手には紙袋を持っている。
確か、あそこの名前は焼菓子のメーカーだったはずだ。
「あ、様、ちょーどええ所に。
これ、買ってきたんです。どうぞ貰ってください」
『ありがとう、坂田。ティータイムの時に頂く事にするわ』
うらたぬきが紙袋を受け取り、部屋へと戻る。
「おかえりなさいませ」
『坂田にもらったの。今日のお菓子にしてくれる?』
「かしこまりました」
うらたぬきはクロに紙袋を渡した。
クロは紙袋を開け、箱を取り出す。
箱の中身を見ると、パウンドケーキとクッキーの詰め合わせだった。
『アールグレイでも合いそうだけど、ニルギリがいいわね』
「かしこまりました。ニルギリをお入れいたしますね」