第1章 プロローグ
ガシャーン
その音と共にお父様とお母様の体が傾く。
そして止まることもなく、二人の体が床に着く。
周りの人は慌ただしく動く。
私の世界からは音が消えていった。
二人に寄り添うファミリー達。
私を支えるメイド。
視界がブラックアウトする。
嫌な夢を見た。
お父様とお母様が死んだ時の夢。
二人は毒で殺された。
私の家はマフィア。そんな可能性もありえた。
だけど、信じられなかった。
目が覚めた時、二人が殺された事を知った。
仇が打たれたことも。
そして、父は死ぬまでの僅かな時間に遺言を残した事。
その言葉を頼りに、ファミリーは動いた。
私が18歳になるまで、私が大人になるまで、ファミリーを維持するために。
私を次のマザーにする為に。