第3章 四人の護衛
「様、様、朝ですよ。おはようございます」
聞こえるのはいつもと同じクロの声。だけど話し方が違う。
ゆっくりと体を起こし、頭を覚醒させる。
クロが無言で指を指している。その方向にあるのは護衛用の部屋。
ああ、そうだ。昨日から部屋にいる時も護衛が付いたのだった。
クロがだしてきた服を着、メイクをしてもらう。
その時、ノックがなる。
「おはようございます。入ってもよろしいですか?」
聞こえるのはうらたぬきの声。今日の担当は彼らしい。
『どうぞ』
「失礼致します。本日のご予定の確認に参りました」
『今日は家庭教師が来る予定もないの。多分、ずっと部屋にいるわ』
「様、一つ忘れておられますわ。本日、明後日のパーティのドレスを選ぶ日です」
『あら、忘れていたわ』
「承知致しました。俺はここに控えているので、何かあったらお呼びください」
『分かったわ。下がっていいわよ』
「失礼致しました」
そう言いうらたぬきは部屋から出ていった。
それと同時にメイクが終わる。私はハンドサインを用いて、クロと会話する。
《彼らはこれからどうやって動くと思う?》
〈うらたぬきと坂田は信頼関係からだと思う。志麻とセンラは仕掛けてきそう〉
《クロもやっぱりそう思うよね。あの二人は要注意だ》
〈でも、誰をボスに選ぶつもりなの?〉
《分からないわ。選ぶかもしれないし、選ばないかもしれない。ボス候補なら他にもいるしね》