第10章 【親友とは】
いつの間にか、クリスの心に重くのしかかっていた物が晴れ、自然と笑みがこぼれた。不思議だ、こんなに短い間で心を開ける人が出来たなんて。
それから2人は、他愛のない会話を楽しんだ。それも時間を忘れるほど延々と。その殆んどが取りとめもない話ばかりだったが、クリスは心の底から笑うことが出来た。
昼食を知らせる鐘がなり、2人はようやく城へ戻った。玄関ホールで、ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人に出会った。3人の顔を見ても、もう顔を背けたいとは思わなかった。どれもこれも、きっとセドリックのお蔭だ。
「ありがとう……えーっと……」
「セドリックでいいよ。君の名前は――」
「クリスだ、クリス・グレイン。」
「それじゃあ、また会おうクリス」
笑ってしまう、何時間も話していたのに、お互い自己紹介もしていなかったなんて。最後に握手をすると、セドリックは大広間に入ってハッフルパフ生のいるテーブルに戻って行った。
「なんでセドリックなんて顔だけの奴と一緒に居たんだよ」
「私が誰と仲良くしようと勝手だろう?さて、今日のお昼は何かな。早朝に起きたのに朝ご飯を食べ損ねたからおなかペコペコだ」
クリスは3人を置いて、軽くスキップしながら大広間へ入っていった。
* * *
昼食が終わると、午後は4人一緒にハグリッドの小屋へ行く事になった。
しかし、ここでまた問題が勃発した。ハーマイオニーがハグリッドをS・P・E・Wに入れると言い出したのだ。正直、仮にも先生であるハグリッドまで巻き込むのはどうかと思ったが、それで諦めるハーマイオニーではない。早速寮に戻って缶バッジの入った箱を取って来ると、意気揚々とハグリッドの小屋へ向かった。
ハグリッドの小屋へ向かう途中、マダム・マクシームに連れられたボーバトンの生徒達を見かけた。その途端、ロンの目が例のシルバーブロンドの美少女に釘付けになった。
一行はハグリッドの小屋から200mほど離れた巨大な馬車に乗り込んでいった。その後をロンまでもが着いて行こうとしたので、ハーマイオニーが耳を引っ張ってハグリッドの小屋まで無理やり連れて行った。