第8章 【対戦校のお出迎え】
『三大魔法学校対抗試合』の対戦校、ボーバトンとダームストラングを迎える日が1週間後と迫って来ると、皆その話題で持ちきりだった。
いったいどんな試合になるのかとか、ホグワーツからは誰が代表になるのかとか、ボーバトンとダームストラングとはいったいどこからやって来るのかとか、とにかく皆の話題はそればかりだった。
当然、城の中もボーバトンとダームストラングを迎えるに相応しいよう大掃除がなされた。甲冑はピカピカに磨かれ、トイレの中も鏡1つ曇りもない。尤も、マートルのトイレだけは、下手に手を出すとマートルが癇癪を起こして水を溢れさせるので、いつもと同じだったが。
もちろん廊下と言う廊下には泥一つ落ちていない。もし泥を落とすようなことがあれば、管理人のフィルチがすっ飛んできて、モップを片手に怒り狂って襲ってくるので、生徒達は外から帰って来る時は念入りに泥を落としてから城に入る様にした。
そしてとうとう迎えた10月30日の朝。大広間は各寮の幕が下がり、教職員用テーブルにはホグワーツ校の紋章である、ライオン、ワシ、アナグマ、ヘビの4匹の動物を交えた幕が大きく飾られている。
流石のクリスもこの日だけはきちんと起きて大広間に来た。もしかしたら、一足早くエントリーする方法を先生方が教えてくれるかもしれないと思ったからだ。
しかし、甘い考えだった。どのテーブルでも『三大魔法学校対抗試合』の話しをしているのに、先生方から発表は全く無い。
がっくりと肩を落とすクリスだったが、毎朝恒例のふくろう便の群れが来ると、クリスは思わず「あっ!」と叫んだ。沢山のふくろう達の中に、雪の様に真っ白いふくろうを見付けたのだ。間違いない、ヘドウィグだ。
ヘドウィグはハリーの傍に止まると、手紙の括りつけられた足を差し出した。ハリーは素早くそれを解き、4人は額を突き合わせてそれを読んだ。
【ハリーへ】
無理をするな。私の事なら心配無用だ、きちんと隠れてもうホグワーツ近くまで来ている。だからこれからホグワーツで起こっている事は全て教えてほしい。
それと、ヘドウィグはもう使わない様に。また何か変化があったら連絡する。君の傷跡については私が言った事を忘れない様に。
――シリウス――