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ハリー・ポッターと闇の姫君

第8章 【対戦校のお出迎え】


 そのお蔭で談話室ではふかふかのソファーに座って紅茶を飲むという、クリスのリラクゼーション・タイムがお預けとなり、代わりに机に向かって羽ペンを走らせる日々が続いた。
 それどころか、『三大魔法学校対抗試合』にエントリーする事さえ頭からすっぱ抜けていた。その事を思い出させてくれたのは、玄関ホールにある大きな掲示板だった。

【三大魔法学校対抗試合】
 ボーバトンとダームストラングの代表団が10月30日に午後6時に到着する。したがって授業は30分早く終了し、全校生徒は荷物を置き、正装用のマントに着替えお客様をお出迎えする事。

「しまった!すっかり忘れてた!!」
「えっ?君エントリーする気だったの?!エントリー出来るのは17歳以上だけだよ?君僕と同じ14歳じゃないか!!」

 隣にいたハッフルパフ生のアーニー・マクミランが、上から下まで眺める様にクリスを見た。
 どう見ても、死者が出るほど危険なこの競技に、同い年かつ自分より背の小さい女の子がエントリーするなんて夢にも思っていなかっただろう。だが、クリスには婚約解消という野望がある。掲示板を前にクリスの瞳が燃えていた。

「確かに私は17歳以下だが、エントリー出来れば選ばれる自信はある!これまで何度だって死線をくぐり抜けてきたんだ!」
「無理だね、きっと選ばれるのはセドリックだ」
「セドリックって、確か――」

 隣にいたハリーが会話に交じってきた。アーニー・マクミランは満面の笑みで、自慢したそうにうずうずしていた。

「セドリック・ディゴリーだよ!去年君をクディッチで打ち負かした人さ!」
「ああーー!!あのウスノロ!?」
「ウスノロじゃないわ、あの人頭が良いし、体格も良いし、それに“監督生”だし!!」

 “監督生”と言う所を妙に強調しながら、ハーマイオニーとロンも会話に加わってきた。しかしロンの気になっているところは“監督生”というキーワードではなかった。

「ああ、ハーマイオニーはハンサムが好きだからね」
「おあいにく様、私は顔で人を判断するような人間ではありません」

 フンッ、と顔を背けるハーマイオニーに、ロンが急に咳こみながら「ロックハート」と聞こえる単語を囁いた。
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