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ハリー・ポッターと闇の姫君

第7章 【S・P・E・W】


【親愛なるハリーへ】
 手紙をありがとう。私もすぐ北に向けて発つつもりだ。色々な噂が私の耳にも入っている。手紙に書いてあった傷の事だが、ヴォルデモートと関係のない事とは思えない。
 もしまた傷が痛むようなことがあったらダンブルドアの所に行きなさい。ダンブルドアがマッド・アイ・ムーディを隠居生活から引きずり出したと聞いた。と、言う事はダンブルドアは何か良くない事を案じていると言う事だ。
 ハリー、危険な事は絶対に避けるよう。また近々手紙を出す。
――PS――
 皆にもよろしく言いっておいてくれ。くれぐれも危険な行動だけはしないよう
                   ――シリウス――


「北に向けて発つつもりだって事は……」
「――シリウスが、帰って来る!?」

 クリスは驚き半分、喜び半分で笑っていいのか、それとも心配していいのか分からくなった。しかしほっと安心した事は事実だ。シリウスがいてくれれば、不安になった時相談できる大人がいる。これは心強い事だ。
 しかし、そう思っているのはクリスとロンだけで、ハリーは顔をくしゃくしゃにして額の稲妻型の傷を拳で殴っていた。

「ハリー!?どうしたんだ!?」
「手紙を出すべきじゃなかったんだ!!」
「どうしてさ?」
「僕の手紙の所為で、シリウスは帰って来なくちゃいけなくなったって思ったんだ!!全部僕の所為だ!
たかだが傷がちょっと痛んだくらいで!!」
「ハリー、そんなに自分を責めるな」

 クリスがなだめすかしても、ハリーは自分を責めるのを止めなかった。ハリーがガンガン頭を揺らすので、ヘドウィグはジッとしていられず椅子の背もたれに飛び移った。
 長旅で疲れてお腹もすいたのだろう、ヘドウィグはハリーから何か欲しそうにハリーに向かってねだる様に甘い声で鳴いたが、ハリーはそれを追い払うように腕を振り回した。

「煩い!餌が欲しいならふくろう小屋へ行け!!」

 ヘドウィグはショックを受けた様に空中に飛び上がると、一瞬だけハリーを見て窓から外へ出ていってしまった。
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