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ハリー・ポッターと闇の姫君

第7章 【S・P・E・W】


 ハーマイオニーは真っ赤になって言い返した。
 そしてこれまで何日間も図書館に通い詰め、ホグワーツの歴史から魔法生物の百科事典まで徹底的に調べ上げ、小人妖精の――ハーマイオニー曰く――奴隷制度が何世紀にもわたって続けられ、誰もそれに異を唱える人がいなかった事を熱弁した。
 その熱弁たるや、クリスを初めハリーもロンも口を挟む暇さえなかった。そして最後に『S・P・E・W』の宣言文として『魔法生物仲間の目に余る虐待を阻止し、その法的立場を変えるためのキャンペーン』を掲げます!と一気にまくし立てると、ハーマイオニーはやっと息を吐いた。

 長い演説の後、やっと口をはさむことが出来るようになった隙を見逃さず、ロンが神妙な顔でハーマイオニーの肩に手をのせた。

「ハーマイオニー、ハッキリ言おう。君のやっていることは無駄だ。だって奴らは働きたくて働いているんだから」
「ロン、彼方のような人がいるから今まで誰もこの問題について手を出さなかったんだわ!良い?私達の短期的目標は、屋敷しもべ妖精の正当な報酬と労働条件を確保する事!まずはここから始めるわ!!」
「あ~……ハーマイオニー……」
「そして長期的目標は、杖の使用禁止に関する法律改正!しもべ妖精代表を――」
「ハーマイオニー!」
「代表者を1人魔法省の一役人として、『魔法生物規制管理部』に参加させること!なぜなら彼らの――」
「少しは話しを聞け!!ハーマイオニーッ!!」

 クリスが大声を出すと、談話室に残っていた数少ない生徒が何事かと振り向いた。ハーマイオニーもやっと喋るのを止め、クリスを見た。
 ハリーとロンは2人が衝突しないか、ハラハラしながら見守っている。1年生の頃ならここで言い合いになっていたかもしれないが、クリスはまるで怒りを静める様に深く息を吐いた。

「悪いけど、私はハーマイオニーの計画には賛成できない。何故なら家にはすでに屋敷しもべがいて、実際に無給で働いているからだ。それなのにこんな協会に入るなんて矛盾しているだろう?」
「あら、それなら大丈夫よ?」
「はあ?」
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