第7章 【S・P・E・W】
すぐ隣で、こんな調子でいい加減な『予言』をされていては、真面目にやっているこっちが馬鹿らしくなってくる。しかし、クリスにも意地がある。
その結果2人が1か月分の予言書をでっち上げる頃、クリスはまだ半分しか出来ていなかった。それでもなんとか仕上げようと頑張っていると、就寝時間を間近に控えた頃、やっとハーマイオニーが図書館から帰ってきた。片手に羊皮紙の束を幾つも抱え、もう片方の手には箱を抱えている。
「やっとできたのよ!」
「僕もだ!!」
ロンが羽ペンを放り出し、背もたれにダラーン寄りかかった。ハーマイオニーは空いている席に腰をかけロンの予言表を見て鼻で笑った。
「まあ!なんて素敵な運勢なんでしょ」
「あのバアさんの事だ、悲惨な運命を書いておけば泣いて喜ぶぜ」
「あら、でも彼方来週2回も溺れる事になってるわよ」
「ゲッ?マジ!?」
ロンはハーマイオニーから予言表を受け取って確認し始めた。その向かいで、ハリーもでっち上げの予言表を書き終えて羽ペンをおいた。
「ねえハーマイオニー、それ何?」
「よくぞ聞いてくれたわ!!」
ハーマイオニーは待ってましたと言わんばかりに箱を開け、中身を3人に見せた。そこには色とりどりのバッジが50個ほども入っていて、みんな同じ字が書いてあった。『S・P・E・W』の4文字だ。
「スピュー?……って、反吐って事?」
ハリーが中に入っていたバッジを1つとって眉根を寄せた。誰だってこんな趣味の悪いバッジ着けたくない。
「違うわよ!エス・ピー・イー・ダブリュー。つまりSは協会、Pは振興、Eは屋敷しもべ妖精、Wは福祉の頭文字。つまり屋敷しもべ福祉振興協会よ!!」
ハーマイオニーはどうだ!とでも言いたげにバッジをクリス達の目の前に突き付けた。嫌な予感がするが、もしかしたらこれの発足者は――。
「あの……ハーマイオニー?これは誰が始めたの?」
「もちろん、この私よ!」
「因みに、会員は?」
「あなた達が入れば、4人ね」
「冗談!何で僕達がこんな反吐なんてバッジ着けて校内を歩かなきゃいけないんだよ」
「S!P!E!W!よ!」