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ハリー・ポッターと闇の姫君

第1章 The summer vacation ~Remus~


 しかしこれほどの本を集めるとは、先生も中々の読書家だ。その種類も多岐にわたる。中には子供向けの絵本まであった。しかもマグル向けなのか、クリスの知らないタイトルも多い。その中で、クリスは1つだけ目を引く本を見付けた。

「へぇ……『Beauty and the Beast』か。どんな内容かな?」

 パーッと本をめくっていくと、最後の方のページから何かひらりと落ちてきた。手に取ってみると、写真の様だ。クディッチの優勝杯を掲げた4人の学生が、こちらに向かって手を振っている。その中には何故かハリーの姿があった。
 何故先生がハリーの写真を持っているのだろう。確かに去年ハリーは8年ぶりにクディッチ優勝杯を手にしたが、他の生徒達は見おぼえがない。
 不思議に思ってよく見て見ると、ハリーとは違う点が1つだけあった。――目だ。目だけがハリーと違い、エメラルドグリーンの瞳ではない。もしかすると……。

「へえ、懐かしいな。それは僕達が4年生だった時の写真だよ」
「えっ!?ルーピン先生?」

 写真に気を取られすぎて、先生が近づいているのにも気づかなかった。先生はクリスの肩越しに写真を見つめている。

「この年に初めてジェームズがクディッチ杯を取ってね。その記念に撮った写真なんだ」
「ハリーとそっくりですね。私、初めはハリーが写っているのかと思いました」

 予感的中、本当にハリーのお父さんだった。目以外はハリーそっくりで、クシャクシャの黒髪で、眼鏡をかけており、額に傷は無いが、鼻筋といい、輪郭といい、本当によく似ている。笑った顔もハリーそっくりだ。

「ジェームズの隣に居るのがシリウス、そしてその隣が私、そしてジェームズの左に居るのが……」

 先生はそこで言葉を切った。そうだ、かつての友、ピーターは親友を裏切り、『例のあの人』のスパイとして活動して、ハリーの父であるジェームズとその妻を死に追いやったばかりか、シリウスまでもが無実の罪を着せられ長い間投獄させられていたのだ。先生にしては、あまり触れたくない事だろう。
 クリスは何と言って良いか分からなかった。慰めの言葉一つ見つからない。どうしようか迷った挙句、クリスは先生のローブを軽く握った。
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