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ハリー・ポッターと闇の姫君

第5章 【弾むケナガイタチ】


 4人が大広間に入ろうと玄関ホールに足を踏み入れると、今度は嫌みったらしい声が後ろから聞こえてきた。振り向かなくても分かる、ドラコと腰ぎんちゃくのクラップとゴイルだ。

「おい、ウィーズリー!お前の父親が新聞に載ってるぞ!!」

 ドラコは日刊預言者新聞を高々と上げると、口の端だけ持ち上げてニヤリと意地悪そうに笑って、皆に聞こえる様に大声で記事を読み始めた。

「――魔法省、続く不祥事――特派員のリータ・スキーターによれば、魔法省の失態はまだまだ続いている。先日のクディッチ・ワールドカップでの騒動といい、その他職員の魔女失踪事件が未だ、解決の糸口すら見えていないと言うのは驚きだ。また、昨日『マグル製品不正使用取締局』のアーノルド・ウィーズリー氏の失態を魔法省が包み隠していると言う事実が発覚した」

 皆が注目している中、ドラコはせせら笑って新聞をヒラヒラさせた。ロンの顔色は、今や髪の毛と同じくらい真っ赤になって、杖を取り出そうとローブに手を突っ込んでいる。それを、ハーマイオニーがローブを引っ張って止めている。
 すぐ傍は大広間で、教職員用テーブルには先生が大勢見張っているのだ。派手な喧嘩は出来ない。

「名前すらまともに書いてもらえないだなんて、君の父親は本当に役立たずみたいだねぇ。税金の無駄遣いなんじゃないのかい?」
「黙れマルフォイ!!」

 ロンが怒鳴った。しかしドラコは聞こえないふりをして、ニヤリと嫌みったらしく笑うと新聞の写真を皆に見えるように掲げた。

「お前の家の写真まで乗ってるぞ、ウィーズリー。まあ、果たしてこれが家と言えるか分からないけどな。それにしても、君の母親は少し減量した方が良いんじゃないか?そのうち丸くなりすぎてドアから家に入れなくなるぞ!」
「ッ!!このっ!!」
「挑発に乗っちゃだめよ、ロン。絶対にダメ!!」

 ハーマイオニーが必死になって、ローブを引っ張っている。ロンは今にも飛びかかりそうな勢いだ。ドラコはますます調子に乗って続けた。

「そう言えばポッター、お前はこの前の夏休みウィーズリーの家に泊まったそうだけど、本当にウィーズリーの母親はこんな太っているのかい?」
「そう言うマルフォイ、君の母親はどうなんだい?」

 ハリーが一歩前に出て、冷たく言い放った。
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