第5章 【弾むケナガイタチ】
それから、生徒達は不思議な円系チャートを渡され、教科書にそって自分が生まれた日の惑星の位置を書き込む作業に入った。
教科書にはさまさまな天体の意味や、角度から計算出来る自分の産まれた時の星座の動きが載っており、見ているだけでワクワクしてきた。
しかし楽しんでいるのは、クリスを含め一部の生徒達だけで、ロンなんて海王星が2つもある星座表を描いていた。みんな星座表を作るのに苦戦しており、あちこちから不満声が上がった。
だがそれ以上に、宿題がどっさり出た事に、みんな不満を口にしていた。おそらくこんな大量に宿題が出たのは、先生の予言が大失敗に終わった事が原因だとされる。
撥ね扉から梯子を下りて、大広間に向かう途中、トレローニー先生に声が届かなくなった所まで来ると、ロンが早速悪口を言った。
「あのクソばばあ、これから一カ月間星座表を見て自分の未来に起こる出来事をレポートにまとめろなんて!まだ初日だって言うのに!!これじゃ週末いっぱいかかるぜ」
「楽しいそうじゃないか。少なくとも形も定かでないお茶の葉や、見えない水晶玉で未来を予知するよりよっぽど信憑性がある」
「でも、星座の角度なんかで本当に未来が分かるの?」
大広間に向かって歩きながらハリーが不審そうに訊ねた。
本当のところ、クリスも100%占いを信じているわけではないが、星々にはそれぞれ意味があって、昔の人はそれを頼りに旅をしたり、また予言を聞いて危険を回避した例は数知れない。そう言う意味では先人達の知恵を借りると思えば、これまでやって来た占いの中で1番信用できる。
「まあ占いなんて、当たるも八卦当たらぬも八卦だよ」
「あら、『数占い学』はちゃんとした理論に基づいているわよ」
後ろからハーマイオニーの嬉しそうな声がした。きっとまた先生の質問に答えて点数を稼いだんだろう。ニコニコ笑ってご機嫌だ。
「彼方達も『占い学』なんて馬鹿馬鹿しい授業は辞めて、『数占い学』を取ればよかったのよ」
「僕ら、君と違って“優等生”なもんで、授業を辞めるなんて大それた事は出来ないんだよ」
去年のハーマイオニーの勢いを思い出しながら、ロンが一部を強調して言った。