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ハリー・ポッターと闇の姫君

第5章 【弾むケナガイタチ】


 先生の真ん前に座っていたラベンダーとパーバティはうっとりと先生の言葉に耳を傾けていた。
 トレローニー先生は半分以上インチキだと思っているクリスだったが、星と聞いて天体好きのクリスは少し興奮した。今までやって来たお茶の葉占いや、水晶玉では何も得るものは無かったが、これは期待できるかもしれないと内心嬉しくなった。
 トレローニー先生は、椅子から立ち上がりスーッとハリーの隣に来ると、また「ああぁぁ」と大げさによろめいた。

「坊や、お可哀相に……彼方は不吉な星、土星の星の元に生まれてきたようです。あなたの未来は大いなる困難が待ち受けているでしょう」

 しかし、ハリーは頬杖をつきながら、ボーっとしていて先生の話しを全く聞いていなかった。隣りに座っていたロンが、肘でハリーを突いた。

「ハリー、起きろよ!」
「えっ?ああ……えっと……」

 ハリーが先生の予言を全く聞いていなかったので、トレローニー先生はイライラした口調で繰り返した。

「彼方!先ほども申し上げましたが、彼方は間違いなく不吉な星、土星の支配下に生まれてきましたね」
「な?――何ですって?」
「土星です、不吉な星サターンの元で生まれてきたと申し上げたんです!」

 トレローニー先生の脅しにもすっかり慣れっこになってしまって、全く意に介さないハリーに、先生は少々おかんむりの様だ。眼鏡をかけ直し、ググッと近づいてハリーの顔を見ると、先生は凝りもせずまたハリーに不吉な予兆をした。

「彼方が生まれた時、間違いなく不吉な星サターンが支配宮に入っていたと見えました。彼方の黒髪、貧弱な体つき、そして何より幼くして両親を亡くした悲劇……あたくしの心眼からすると、彼方……真冬に産まれたでしょう?」
「いいえ、僕、真夏の7月に産まれました」

 全く当てずっぽうな先生の予言に、クリスはつい噴き出してしまって、慌てて教科書で顔を隠した。その隣ではロンが、笑いを誤魔化すために何度も咳払いをしていた。
 先生の予言は見事外れたが、先生は何事も無かったようにまたスーッと歩いて肘掛け椅子の所に戻った。
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