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ハリー・ポッターと闇の姫君

第5章 【弾むケナガイタチ】


 ある意味ドビーとチャンドラーが良い例だ。ドビーは命令に従いつつも、いつも自由を求めていた。逆にチャンドラーは、主人のクリスに小言を言いつつも、命令には絶対従う。もし相反する2匹を見た時、はたしてハーマイオニーはどう思うのだろうか。
 そんな事を考えながらポテトサラダを口に運んでいると、もう昼食も終わりの時間が迫ってきた。午後は『占い学』で、教室が北塔のてっぺんにあってここから遠いので、3人は急いで大広間を後にした。

 急いだ割には、北塔のてっぺんに着いたのは始業ベルが鳴るギリギリだった。ハリー、ロン、クリスの3人は梯子を上り、撥ね戸を開いて教室に這い上がった。相変わらずムッとする空気と、怪しげな光を放つランプが並び、色々な形のイスがあちらこちらに置かれている。3人は空いている小さいテーブルを囲んで座った。

「ごきげんよう」

 部屋の奥から、蚊の鳴く様な細い声が響いてきた。まるで滑車が付いているかの様に、トレローニー先生がスーッと教室の中心に進み出てきた。
 いつも通り顔の大きさと不釣り合いな大きい眼鏡をかけ、ショールを巻いて、細い首や手首にビーズやチェーンのアクセサリーをジャラジャラ付けている。そしてハリーの目の前にやって来ると、額に手を当て「ああぁぁ」と小さく悲鳴を上げた。

「坊や、心に不安を抱えているでしょう?私の心眼は彼方の些細な不安さえも読み取ってしまうのです。お気を付けあそばせ、彼方の不安は遠からず現実のものになるでしょう。……行く手に見える困難、そして悲しい別れの時が訪れようとしています」

 トレローニー先生が耳元で囁くようにそう言うと、ハリーはうんざりした顔をしていた。また先生のお気に入りの儀式が始まったのだ。
 ロンはその隣でやれやれとため息を吐いた。トレローニー先生はハリーを一発脅して調子を取り戻すと、暖炉の傍にある肘掛け椅子に座った。

「皆様、今学期は星を学ぶ授業をいたします。星座の運命的な動き、星々の瞬きから読み解かれる予言……俗世の理から遠ざかり、神秘の眼をもって星の声を聞くことが出来れば、皆様は未知なる力を発揮し、大いなる光の存在を知る事になるでしょう」
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