第4章 【三大魔法学校対抗試合】
1千ガリオンあったら何が出来るだろう。もしかしたら、やっとドラコとの婚約を破棄出来るかもしれない。そう思うと絶対に出場してみせると言う気が湧いてきた。それはクリスだけではない様だった。テーブルのあちこちで、興奮した話し声が聞こえてきた。
「だが、これだけは言っておこう。皆このこのホグワーツに栄誉をもたらそうと熱意を持っているだろうが、今年は安全性を配慮し、年齢制限を設ける事になった。つまり17歳以上の魔法使いだけが出場する権利を与えられる」
年齢制限と聞いて、各テーブルからどよめきが起こった。クリスの数個先の席に座っていたフレッドとジョージも不満を口にしていた。ダンブルドアは皆が静かになるのを待ってから、少し声を大きめにして再び話しを始めた。
「先ほどもいった様、17歳以上――つまり6年生の一部と7年生しか出場の資格は認められん。これはこの『三大魔法学校対抗試合』には、十分な知識・経験・魔力が必要とされるからじゃ。だから年齢に満たない者は潔く諦め、力いっぱい我が校の代表選手の応援してもらいたい。審査員に名前を提出して、無駄な時間を過ごさぬようにな」
それを聞いて、クリスは思い悩んだ。どうにかして出場できないものかと。確かに今のクリスでは知識も魔力も足りないかも知れないが、経験だけは踏んでいる。この3年間で、いったい何度死にそうな目に遭った事か。それを考えれば親善試合など怖くはない。問題は年齢だ。こればっかりは誤魔化せない……。
「ボーバトンとダームストラングの候補生達は、10月に到着して以降、学期末まで我が校に留まる予定じゃ。外国から折角いらっしゃったのじゃ、皆、節度を持って丁重にもてなす様に。儂からは以上じゃ。それでは就寝!!」
生徒達は促されるまま大広間を後にした。殆どの生徒はそのまま各寮に向かったが、大広間を出た扉のすぐそばでは、フレッドとジョージが立ち止まって、教職員用テーブルに座っているダンブルドアを睨みつけていた。
「僕達4月になったら17歳だぜ?何で出場できないんだ?」
「俺はエントリーするぞ、どんな手を使っても」
「1千ガリオン……これを逃す手は無いよな」