• テキストサイズ

ハリー・ポッターと闇の姫君

第34章 【運命の歯車】


 クラムはハーマイオニーを連れて、人ごみの中へ消えて行った。その後姿に向かって、ロンが「早くしろよ!!」と大声で呼びかけた。
 そして2人が戻って来るまで、ロンは始終首を鶴のように長くして様子を伺っていた。ハーマイオニー達が戻って来ると、ロンは怪しいところは無いかジロジロ見た。

「僕、セドリック、好き、だった」

 出し抜けにクラムが言った。クラム曰く、ダームストラングの生徒でも偏見をせずいつも紳士的に接してくれるのが嬉しかったらしい。

「そう言えば昨日の終業式でもカルカロフを見なかったけど、どこに行ったの?」
「分からない……ごめん、そろそろ、行かなくちゃ」

 皆と握手をした後、船に戻ろうと踵を返すクラムに向かって、ロンが待ったをかけた。

「なあ!これに……サインくれない?」

 頬をわずかに染めながら、ロンがぶっきらぼうに言うと、クラムはふっと笑って羊皮紙にサインした。

* * *

 4人はホグズミード駅に着くと、4人で一つのコンパートメントを占領した。空は青く、夏の日差しが気持ち良い日和だったが、クリスは心ここに在らずと言った状態だった。
 ハーマイオニーを筆頭に、ロンもハリーもどうにかクリスの気を引こうとしていたが、クリスは生返事ばかりでちっとも関心を示さなかった。
 折角ハリーがお昼にお菓子を沢山買って大盤振る舞いしたが、クリスはそれにも無関心だった。仕方なく、ハーマイオニーがとっておきのネタを持ち出した。

「ねえ、リータ・スキーターがどうなったか知りたくない?」
「止めろよ、今そんなババアの話しなんて」
「あら。これを見たら、そうは言ってられなくなるかもしれないわよ?」

 ハーマイオニーは、カバンの中から空になったジャムのビンを取り出した。クリスは横目でチラリと見たが、中にはコガネムシが1匹入っているだけだ。

「聞いてちょうだい、実は――これがリータ・スキーターの正体よ」
「え?」
「はい?」
「嘘だろ!?」
「嘘じゃないわ。アイツ、未登録のアニメ―ガスだったのよ。どおりで誰にも見つからずにあちこち情報を集められたはずだわ」
/ 305ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp