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ハリー・ポッターと闇の姫君

第33章 【決別】


「確かにバーティ・クラウチが生きていた事は驚いたが、『例のあの人』が復活しただなんてそんな馬鹿な話し――」
「いや、確かにヴォルデモートは復活したぞ、コーネリウス」

 ダンブルドアがきっぱりそう告げると、ファッジは顔色を変えて恐怖で震え始めた。
 信じたくないのだろう。10年以上この世界を恐怖のどん底に突き落とした闇の魔法使い。それが13年前に姿を消し、やっと世界に平和が訪れたと思っていたのに、今になってより力を付けて復活したとなっては手の付けようがない。まさに絶望と呼んで良い出来事だ。
 ファッジは神経質に髭を撫でながらぶつぶつ呟いた。

「まさか――まさかそんな、ありえない……起こって良いはずがないんだ。『例のあの人』が復活するだなんて……」
「勇気をもって真実に目を向けるが良い、コーネリウスよ。ヴォルデモートは復活した。これは先程クラウチJrが『真実薬』で証言し、ハリーもまた先程わしに、優勝杯に触れた後、何が起こったか説明してくれた。わしはクラウチの証言、そしてハリーの話しと、数々の行方不明事件を結び合わせることが出来ると確信しておる」
「馬鹿げているっっ!!!」

 突然ファッジが大声を上げた。顔色は今や怒りで真っ赤なり、歯をむき出しにしている。いつも見ている愛想笑いを浮かべたファッジとは大違いだった。

「狂った『死喰い人』と妄想癖のある子どものたわごとを真に受けるなんて!ダンブルドアはどうかしている!!」
「間違っているのは彼方の方だ!」

 ハリーが起き上がり、大声を張り上げると皆びっくりしてハリーの方を振り返った。皆まだハリーは眠っているとばかり思っていたのだ。
 ファッジは死んだ人間が生き返ったのを目の当たりにしたように、驚いて声も出せず口をパクパクさせていた。

「僕は今日、ヴォルデモートが復活したのをこの目で見たんだ!」
「どっどっどどうせ夢でも見たに違いな……」
「夢じゃない!『死喰い人』が集まって来るのも見た!名前も全員言える!ルシウス・マルフォイ!」

 クリスの指先が反射的に動いた。分かっていた――だがやはり口に出されると真実味を増して、傷口がえぐられる様な感覚がした。
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