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ハリー・ポッターと闇の姫君

第32章 【幕引き】


「さあ、医務室に行きましょうポッター。グレインにも彼方にも休息が必要です」
「待てミネルバ、2人ともまだここに残ってもらう」
「ですがダンブルドア、この子はもう疲れ果てて――この数時間だけでどれだけの苦労をしたか……」
「ハリーには何があったか知る必要がある。真実を隠したままの回復はあり得ない」
「しかし……」

 マクゴナガル先生は心配そうにハリーを見たが、ダンブルドアの顔を見てそれ以上何も言えなかった。

「先生……ムーディが、炎のゴブレットに、僕の名前を入れたって……嘘ですよね?」
「いや、恐らく真実じゃ。と、言うよりこやつはムーディではない。本物のムーディなら今夜のような出来事があった後、君達をわしの目の届かない所に連れて行くはずがない。その証拠に――」

 ダンブルドアはムーディのローブから携帯用酒瓶と沢山の鍵が付いた錠前を取りだし、マクゴナガル先生とスネイプ先生におかしな命令をした。

「ミネルバ、厨房に行ってウィンキーと言う屋敷しもべ妖精を連れてきてくれ。セブルスは貯蔵している中で1番強い自白剤を持って来てくれ」

 ハリーには何の事か分からなかったが、2人はダンブルドアの命令をきくや否や、すぐさま部屋を出て行った。

 ダンブルドアは部屋を横切り、隅に置いてあった大きなトランクの傍に行くと、1つ目の鍵を差し込みトランクを開けた。中には魔法の本がぎっしりと詰まっており、怪しい点はない。
 ダンブルドアは2つ目の鍵を差し込み、再びトランクを開けた。すると魔法の本は消え、代わりに羽ペンや羊皮紙の束、そして『透明マント』と思わしき物が入っていた。

 ダンブルドアは次々に鍵を変え、トランクを開けていった。その度トランクの中身が変わり、ハリーはダンブルドアがいったい何をしているか皆目見当もつかなかった。
 しかし7番目の鍵を差し込みトランクを開けると、ハリーは驚いて声を上げた。

 トランクの中は魔法がかけられた様に底が深くなっており、中をのぞくと暗いトランクの中に本物のマッドアイ・ムーディが横たわっていた。
 足の義足は無く、魔法の眼がある方の眼球は少しくぼんでいる。白髪交じりの鬣のような髪の毛はざんばらに切られており、やせ細った体は辛うじて息をしていた。

「魔法で眠らされておる……それに『服従の呪文』もかけられておるな。相当弱っておるみたいじゃ」
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