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ハリー・ポッターと闇の姫君

第29章 【来るべき時】


「おいおい、後10分で試験だって言うのに正気かよ……」
「よっぽどあのリータ・スキーターってオバサンが気に入らないみたいだね」

 クリスは教科書を見ながら、こくこくと首だけを縦に動かした。
 その時、ふっと教科書に影が差し暗くなった。教科書から顔を上げると、そこにはいつもの様につばの広い三角帽子をキッチリとかぶったマクゴナガル先生が立っていた。

「ポッター、代表選手は朝食後に大広間のわきの小部屋に集合です」
「でもっ、課題は今夜ですよ!?それなのに今から!?」
「勿論、今から課題をするわけではありません。各代表選手の家族が皆集まっていらっしゃっています。その挨拶ですよ」

 ハリーは呆然とマクゴナガル先生を見つめていた。ハリーの家族と言うと、叔母夫婦のダーズリー一家しかいないが、ハリーを毛嫌いしているあの一家が、わざわざ挨拶なぞに来るだろうか。
 マクゴナガル先生は用件だけ述べるとさっさと立ち去って行ってしまった。

「まさか……ダーズリー家が来てるとか?」
「あり得ないあり得ない」
「あっ、試験までもう5分も無い!急ごうクリス!ハリー、また後でな!!」

 ロンの言葉を最後に、2人はハリーを残して大広間を出た。魔法史の試験は、ギリギリまで教科書とにらめっこしていたお蔭でそれなりの出来だった。
 ただ、隣りでもの凄いスピードと気迫で羽根ペンを走らせているハーマイオニーがいなければ、もっと集中できたかもしれない。

 試験が終わり、昼食を取るため大広間に行くと、ハリーと一緒にウィーズリーおばさんとロンの1番上のお兄さんのビルがいた。
 これにはロンもびっくりだったが、おばさんに試験の結果の事を訊かれると、途端にしどろもどろ口調になった。

 そうこうしている内に、フレッドとジョージ、ジニーも集まって来て、一家団欒と言った空気がしてきた。その隣で、ハーマイオニーがちょこんと座っていた。

「あら、こんにちはハーマイオニーさん」
「こ……こんにちは」

 まるで今気が付いたかの様に、おばさんの表情は硬かった。正に嫁をいびる姑のごとき冷淡さだった。それを見て慌ててハリーが間に入った。
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