第29章 【来るべき時】
「ねえおばさん、リータ・スキーターが『週間魔女』に書いた馬鹿げた記事を本気にしてないよね?だって僕とハーマイオニーはただの友達だし!」
「あら!えっ、ええもちろんよ!誰があんな記事。ホホ……ホホホ……」
おばさんは笑っていたが、誰もが例の記事を本気にしていた事は分かっていた。その後、おばさんのハーマイオニーに対する態度が180度変わった。
それから午後の試験が始まり、またクリスとロンとハーマイオニーは大広間を後にした。
最後の試験は『変身術』で、これが1番厄介だった。今年はウサギをシルクハットに変える試験だった。クリスのシルクハットはちょっと毛がふさふさしていたが、耳が生えているネビルのよりはマシだった。
そして晩餐会の時間がやって来て、ホグワーツ生だけならず、ボーバトンもダームストラングの生徒も全員大広間に集まった。
教職員テーブルには今回パーシーの姿は無く、代わりに魔法省大臣のコーネリウス・ファッジの姿があった。ファッジは晩餐会の食事に大満足と言った感じでニコニコしていた。
食事に満足していたのはファッジだけではなかった。ロンも、ハーマイオニーも、勿論クリスも満足していたが、選手のハリーは緊張からかあまり食べてはいなかった。
「ハリー、食べないと体がもたないぞ」
「分かってるけど、何だか落ち着かなくて……」
そうこう言っている内に時間は進み、やおらダンブルドアが立ち上がった。それを合図に皆一斉に口を閉ざした。ダンブルドアはたっぷり間をあけてから話し始めた。
「ここにお集まりの皆様、間もなく『三大魔法学校対抗試合』の最終課題が行われる。4人の選手は一足先にグラウンドに行くようお願いする。それから5分後、皆がグラウンドに集まるよう各先生方に誘導してもらおう。では皆、選手達に激励を!」
――ついに、運命のラスト・ステージが幕を開けようとしていた。