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ハリー・ポッターと闇の姫君

第29章 【来るべき時】


 しかしそんなに気張らなくても、ハリーは今度の課題には自信がある様だった。
 今までの経験から、実践に強いことは証明済みだし、出来る限りの準備は出来るし、なによりこの課題が終わったらもう晴れて自由の身だ。毎日毎日送られてくるシリウスの心配性な手紙に頭を抱える事も無くなる。


 そして6月に入り、第3の課題の日が刻一刻と迫って来ると、4人だけでなく他の生徒達も興奮し始めて来た。
 もう『汚いぞポッター』のバッジを着けているのはドラコを始めとした一部のスリザリン生だけで、他の生徒はセドリックを応援していたものの、バッジを着けている人は殆どいなかった。

 クリスは課題が始まる前にもう1度だけセドリックと2人きりで話したいと思っていたが、中々機会が無かった。と言うのもセドリックはいつも皆の中心にいて、1人きりでいる事が無かったからだ。
 それにガールフレンドのチョウもいるので、2人でコソコソ会っていると何だかいけない事をしているような気分になるからだった。

 そうこうしている内に遂に第3の課題が行われる6月24日がやって来た。この日は魔法史の試験の日でもあり、流石のクリスも試験勉強ついでに早起きして教科書を見ながら甘いミルクティーを飲んでいた。
 魔法史はあまり得意ではないので、ギリギリまで教科書とにらめっこしている。

「クリス」
「…………」
「クリス?」
「…………」
「クリス!!」
「えっ!?あ、あぁ、何だ?」
「大丈夫?君ってば、ハーマイオニー並みの本の虫だったぜ」
「失礼ですけど、聞こえて――」

 言いかけて、ハーマイオニーは突然口を閉ざした。そして目を丸くし、どこか分からない一点をずっと見つめている。

「そうよ――そうだわ、それならムーディ先生だって分からないし……それにどこにでも飛んでいけるし登れる……でもあの女の事よ、絶対認められていないわ!それならこっちのモノよ!遂に、遂につかんだわよ!!」
「な、なにをつかんだって?」
「あの女の正体よ!ちょっと図書館に行ってくる、皆は先に教室へ行ってて!!」

 それだけ言い残すと、ハーマイオニーはカバンを引っ掴んで大広間を出て行ってしまった。
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